〃 ページ22
《A!?どうしたの!ねぇ!?》
『最悪、足ひね…ッ!?』
厚く大きな手がAを叩き付けようと振り下ろされるが、なんとか動かせる足と両腕で転がり躱す。
しかし回避先を予測していたのか反対の大きな手で腕ごと胴体を掴まれてしまった。
予想が当たったのが嬉しいのか呪霊は愉快そうに笑い握り潰そうと力を込める。
『あ"っ…ぐ…ッう"う"』
骨はまだ折れてないもののミシミシと嫌な音がする。
しかもそれだけの力で掴まれれば当然内臓も圧迫されて苦しい。
思わず苦痛の声が口から零れてしまう。
《〜〜!!〜!!》
未だ通話が繋がったままの携帯から悟の声がする。
距離があり何を言っているのかは聞き取れなかったが、悟に今の自分の現状が聞かれている事には気付いた。
『テメェの、せいで…情けねぇ声、聞かれちまったじゃねぇか!クソが!!』
激痛に絡め捕られそうになった意識を敵意へと引っ張り出し集中する。
『斬閃!!っ…「乱舞」!!』
まず始めに三日月型の刃がAを掴んでいる手首を切り落とした。
皮肉にも体を掴んでいた手がクッションの代わりになりダメージが軽減される。
そのままAの言葉に合わせて斬閃の刃は小さく弾け、多数のブーメランのように呪霊の周りを舞い体を斬り付けた。
「ギシィィ!!」
呪霊は傷を受けながらも斬閃の刃を避けたり打ち返そうと腕を振るう。
しかしAはその間にも呪力を込め次の攻撃の準備が整っていた。
『煌刺「
下から狙われた仕返しと言わんばかりに、太く鋭い煌刺の槍が床から突き出し呪霊を串刺しにした。
濁音だらけの断末魔を響かせながら呪霊は霧散して消えていく。
それを見届けたAはフラフラしながら携帯に近付き、片膝をついて拾って耳に当てる。
『格好悪いとこ、聞かれちまったな』
《A!!大丈夫なの!?》
『大丈、夫…じゃ…なさそ…』
バタリ、と悟の耳に聞こえてしまっただろう。
積み重なった疲労が限界を超え全身の力が抜けたAは床に倒れ込んでしまった。
《A!?嫌だよ!A!!》
携帯から悟の声がするが、意識は遠退くのを止めてくれない。
頭の中も目の前も徐々に真っ黒に染まっていく。
感覚も視界も失われていく中、悟が何度も呼びかけてくれる声だけは暫く聞こえていた。
しかし応える事は叶わず、とうとう意識が落ちてしまう。
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晩鶴紫呉(プロフ) - いえいえ!むしろ私が忘れてました (2021年4月1日 17時) (レス) id: 9a7d0082b8 (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - らっこさん» 現在は0巻のストーリーをコツコツ書き進めております!0巻が終わったら原作編に行きますので、もう暫しお待ちください!……なるべく早く再開したいです!リアルが忙しくて時間が取れず恨めしい(苦笑) (2021年3月17日 20時) (レス) id: 9b51245cfc (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - らっこさん» わぁ!!お返事が遅くなってしまい申し訳ありません!!そして当小説をとても好いてくださる気持ちがたっぷり伝わる温かいコメントをありがとうございます!!(嬉泣)自分は男主は攻めが好物なので逆に攻めの夢主しか書けないんですw喜んで頂けて嬉しいです!! (2021年3月17日 20時) (レス) id: 9b51245cfc (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - あ、でも本当に無理しないでくださいね。神作者様...というか推作者様を無理させてしまうのは望んでいないので!あくと様のお好きなように書いていただければ自分は満足です...! (2021年3月11日 22時) (レス) id: b2f3d77b53 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - 最強さん攻めが多いのでうれしいです!いろんな感情たかぶらせながら何回も読んでます笑続き楽しみです。無理しない程度でいいので更新頑張ってください!呪の器さんが登場する原作偏も読みたいです。楽しみカ楽しみがありすぎて逆に辛いっ...笑 (2021年3月11日 22時) (レス) id: b2f3d77b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あくと | 作成日時:2021年1月28日 20時