知り合い(仮) . (ページ7)

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電話が終わって私は次の講義のために教室に入った。

大学には1人だけ仲のいい友達がいるけど、

一緒の講義は取ってなくてほぼ会うことはない。

教授には申し訳ないけど今日は適当に受けよう。

今の私の頭の中は今日の夜のバイトのことでいっぱいだった。

「お前ら、来週レポート提出しろよ」

ちょっと強面の教授だから、怖くていつもすぐレポートに取り掛かるけど、今日はパス。

また今度にしよう。

￣

『店長、今日の夜…』

「奥の部屋、7名様。今日も任せていいか？」

『はい。がんばります！』

「今日は楽しそうだな。頼んだぞ。」

この間はすごく苦痛だった言葉も

今は少しだけ気楽に捉えることができた。

『失礼します。お水とメニューお持ちしました。』

部屋に入った瞬間松倉さんと目があった。

「あ、Aさん。電話ありがとね。」

松倉さんはAさん呼びに戻ってた。

『いえ。2度目のご来店、ありがとうございます。』

「あ！そういえば、だし巻き美味しかったみたいで、今日ここに来たいって言ったのもちゃかで…」

「松倉うるさい。」

「おい松倉、お前あんま海斗怒らせんなよ。」

えっと、この人は…

「あーはじめまして、中村海人です。」

そうだ。中村さんだ。

「僕もはじめましてですよね。吉澤です。」

「七五三掛です。電話邪魔してすいません(笑)」

吉澤さんと、七五三掛さん。

このお店で初めて4人を見た時とか、動画を見た時は全員は絶対覚えられないって思ってたけど、みんなそれぞれ個性があってすぐに覚えてしまった。

『はじめまして。AAです。』

挨拶が終わるとみなさん楽しそうにメニューを見始めた。

『ご注文がお決まりになりましたら、お呼びくださいませ。』

部屋を出る瞬間、宮近さんと目があった。

私の勘違い、そう思うことにした。

￣

♪～

呼び鈴の音で私は部屋に入って注文をとった。

『あ、だし巻き頼んでる…』

「だし巻きがどうかしたのか？」

『前に私のおすすめだと言ったら気に入ってくださったみたいです。』

「じゃあ今日のだし巻きはサービスだな(笑)」

店長も笑顔にするなんて、私はアイドルの力を知った。