知り合い(仮) . (ページ48)

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会場に着くと、もうたくさん人がいた。

『あと10分くらいで開場だ…』

「緊張してんの？(笑)」

『ずっと楽しみにしてきたからね…』

「顔めっちゃ引き攣ってるよ(笑)」

私の同行者は気楽で今日ばかりは本当に羨ましい。

「すいません、一緒に写真撮ってください！」

「あ、いいですよ(笑)」

しかもファンの子と写真撮影会？みたいな感じになってるし。

そりゃそうだ。黒いマスクして黒髪サラストだとめっちゃ元太くんに似てる。

「まもなく開場です。」

アナウンスがかかっても一向に人だかりが消えない。

『もう入れるって』

私が口を挟むと

「彼女さんですか？」

って。ほんとに冗談じゃない。

やっと落ち着いた時にはもう17:40すぎ

『あと20分弱で始まるんですけど』

「あ、すいません。いきましょう。」

まあ中に入っててもきっと緊張しっぱなしだったと思うし、逆に助かったんだけど。

「2名様ですか？QRコードお願いします。」

発券された。

「席どの辺？」

『え、せーので見る？先見る？』

「せーので見る。はい、せーの！」

1階 8列 26番

『えっ、嘘…1階？』

「え、これ結構近い感じ？」

『うん、前から8列目だからね。もう、近すぎる…』

とりあえずあと20分くらいしかないから急いで会場に入った。

もうだいたいの人が席についてた。

「え、近。」

『やばいよね、近すぎるよね。』

電源を落とすために携帯を見ると通知が一件

海斗もう入れた?席どこ?

あ、やばい。完全に忘れてた。

A1階の前から8番目

もうきっと携帯なんて見てないだろうけど一応返信した。

海斗連絡遅い。8列目ね、絶対見つけるから元太だけじゃなくて俺のことも見てて。

まだ始まってないのに、緊張で心臓の音が速くなるのがわかった。