知り合い(仮) . (ページ26)

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ストーカーページ26

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『これ、返した方がいいよね。やっぱ高い？』

「誰にもらったか知らないけど俺は返さなくていいと思う。あーうん、これいいやつだね。」

今日の私たちの会話の中心は宮近さんからもらったピアス。

普段はこんな話なんてしないけど、さすがに一人ではどうすることもできない。

『ピアス、これもプレゼントしてもらったんだよね。』

「え、Aの好みでしょ、これ。」

『うん。めっちゃ可愛いよね。』

あの宮近さんの隣で私が選んだピアスです！って言えたらいいのに。

「もう今すぐにピアスあければ？その人もピアスつけて欲しがってるんじゃねえの？」

『え、今…？』

「ドラッグストアとかに売ってるけど」

まだ勇気が出たわけではないし、怖くないわけでもない。

でも、私がもしこのピアスをつけたら、宮近さんはどんな顔するか気になる。理由はそれだけで十分だった。

『よし、今から買いに行く。』

「俺が送って行こうか？」

私は結局いつもこの人に頼ってばっかりだ。

『申し訳ないから一人で行く。』

「わかった、気をつけて。」

・

ドラッグストアに来たけど、どれがいいとか分からない。

『よし、これにしよう。』

結局、一番最初に目についたやつにした。

お店の外に出るともう暗くなってた。

『よし、急いで帰ろう。』

そう思って歩き始めた時、後ろに人の気配を感じた。

たまにそう感じる時もあるし、ストーカーなんて私がされるわけない。

でも、どこまで行ってもやっぱり気配は消えない。

私は怖くなって、路地裏に隠れた。

物陰で見張ってると、深く帽子を被った男の人が見えた。

私、ほんとに後ろつけられてたんだ。

いざ誰かに連絡しようとしても、私の携帯に登録されてる連絡先なんてほとんどなくて。

お父さんとお母さんは無理だし…

りぼちゃんも危ないよね…

あいつの連絡先…あーあの日消したんだった。

あ、もう1人。

＂海斗＂

私が芸能人の宮近さんに電話なんて良くないってわかってたけど、頼れる人が他にいない。

私は、発信ボタンを押した。

全然出る気配がなくて、きっとお仕事中だ。

電話を切ろうとした時、

「Aさん、だよね？」

深く帽子を被った男の人に声をかけられた。