知り合い(仮) . (ページ32)

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「すいません。身分証はお持ちですか？」

言われたままに急いできたのはいいけど、一般人の私が入れるわけない。

『あ、持ってないです。これ、渡してもらえますか？』

「すいません。プレゼント等は渡せない決まりになってまして…」

『あ、そうですよね、すみません。ありがとうございました。』

これが芸能人と一般人の差か。

前のお店のだし巻きのレシピで久しぶりに作ってみたんだけどな。

私が車に乗ろうと鍵を探してた時、突然腕を掴まれた。

『っっ！！離して！！』

あの日以来人に触られるのが苦手になった私は咄嗟に突き飛ばした。

「いった…。Aの力強すぎね？」

私は、推しを突き飛ばしてしまったみたいです。

『ぇえ！？元太くん！ごめんなさい私…』

「俺の方こそごめん。知ってたのに。」

『血が…』

「これぐらい平気だから。あ、そういえばちゃかが待ってるよ。」

『私、警備員さんに止められちゃって。だから元太くんに渡すね？もしよかったら、皆さんでどうぞ。』

私がだし巻きの入ったタッパーを渡そうとしたけど

「ごめん、血がついちゃうからさ、やっぱり楽屋まで持ってきてくんない？」

『あ、はい。すいませんほんとに。』

完全にやらかしてしまった。

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「元太とAちゃん遅かったね！ってえ？どしたの？」

「あーちょっとつまずいて転んだ。」

「めっちゃ痛そう。如恵留〜！元太が手、めっちゃ怪我してる！」

『あっ、すいません私が…』

「Aのせいじゃないから。ね？」

元太くん、川島さんに連れられて奥に行っちゃったけど、やっぱり痛そうな顔してる。

「もしかしてAがなんかしたの？(笑)心配そうな顔してるけど。」

いつの間にか隣にいた海斗くんが笑いながらそう言ってきた。

『私が突き飛ばしちゃいました。すいません、メンバーの方を怪我させてしまって。』

「元太なんかしたの？」

『私を呼び止めるために、腕を掴んだ時に咄嗟に…』

「そゆことか。まだ怖い？」

『少しだけ、。だけど、もう大丈夫だから！これ以上皆さんに迷惑かけれないので、私帰るね。』

「迷惑じゃないけどね？(笑)あ、だし巻きありがと。」

『初日、頑張ってください。』

「ありがとう。」

楽屋を出ようとした時

「A、ピアス似合ってるよ。かわいい。」

そう言われて、頭をポンポンされた。