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風磨くんがいるだけで、いつもの部屋がなんだか違う部屋のようだ
もう少し掃除しておくんだったなんて後悔しても、今更どうしようもない

「飯食べた?」
「まだ。」
「宅配頼もっか」

風磨くんのスマホを2人でそれを覗き込むんで、あれこれ言い合って注文を決めた。
商品が届くまで時間があって、狭めのソファーに2人で座って、テレビを観ながらたまにじゃれあって、
自分の家でそんなふうに過ごすと、隣にいるのはアイドルでもなんでもない、普通の男の人なんだって、そんな錯覚に陥ってしまう
 
そんなはず、絶対ないのに

「そういえば何?中島の話」
「あー…」

誤魔化そうと視線を泳がせる私を、風磨くんは逃がしてくれない
私は観念して、今日の事を伝えた。貫地谷さんとの距離が近いって言わた事も話さなきゃならないから、風磨くんの機嫌が悪くなりそうで嫌なんだけど。
その予感は的中して、徐々に風磨くんの表情が固くなる。話し終えると、彼は私の隣で静かに口を開いた

「何かいうことは?」
「…ごめんなさい」
「ある程度は仕事だから仕方ないとして、マジで、あの男の近さは異常!」
「そんなに…?」
「中島にも言われたんだろ?」

はい。なにも言い訳できません。
というか、本題はそこじゃなくて。中島さんにバレてるかも問題は?なんていう心の声が顔に出ていたのか、風磨くんは不意に私から視線を逸らすと、考えるように手を口元に寄せて言葉を流す

「中島は、ほっといていいよ」
「え、」
「付き合い長いから。わかる事もあるのかもなぁ」

そういうものなの?中島さんにバレても心配は無いけれど、私は仕事で顔を合わせるわけでなんとなく気まずい。

「普通にしてれば大丈夫。中島の方は」

風磨くんはそう言うと、お茶が欲しいと立ち上がった。

「あ、風磨くん、」

そういえば、明日会社の人達と飲みに行くって貫地谷さんもいるって、風磨くんに言ってないことを思い出し、この勢いで話そうと、私はその腕をひく

「ん?なに?」

瞬間、ふわりと、人工的な甘い香りが鼻をついた。
風磨くんのでも無い、私のでも無い。甘ったるい香水の香り。

「あ……今日ってドラマの撮影だったの?」
「まぁ、最近はそればっかかな」

その香りとあの新人女優が結びついてしまって、私は手を離す。仕事だから仕方ない。解ってる。
 
「どうかした?」
「…なんでもない」
 
首を横に振る私に風磨くんは訝しげな表情を見せたけれど、それ以上は聞いてこなかった。

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作者名:しい | 作成日時:2022年9月10日 10時

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