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バイト先に知り合いが来ると気まずい ページ1

「さーせぇーん、宅急便でーす!お荷物お届けに参りやしたぁ」


配達業界大手であるクロネコ宅急便の配達員として働き始めてはや数日。
ここ最近は江戸でもネットショッピングが流行っており、それは俺くこの町歌舞伎町も例外ではない。おかげで俺は朝から今まで走りっぱなしだ。まったく、こんな重労働、給料が割に合ってねえってんだ。


どんどんどんどんっ


「さぁーせぇーん!!!クロネコ宅急便ですぅ〜!!!居ますよね?ちょっと、聞いてる?おーい」

この仕事を通して学んだことと言えば、居留守をする宅は厄介だっつーことだ。だいたい、なんで居留守なんてするんだよ、テメェが頼んだんだろーが!荷物受け取るまでが遠足だろーがっ!そしてどんな厄介な家の中でも最も厄介な家、そう、”ハイパーデンジャラス厄介な家”がこの、俺の眼の前にそそり立つこの家だ。


どんどんどんどんどんどんどんどんっ


「ちょ坂田さんー?!聞いてますぅ?おい聞いてんのか?おい!」

「......聞いてんのかっちゅうとんのが聞こえんのかゴルァァァァァ!」


どっごぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!!!!!



おれの渾身の一撃を受けた引き戸が悲鳴を上げている。可哀想な扉。だがそれもこれも家主の責任。俺に泣きつくのはやめていただきたい。

しかし、一瞬の間も開けずに引き戸は新たな悲鳴を上げ、肺にささるほどに澄み渡った空気を盛大に振動させた


「.........っ居ねえっつってんだろうがぁぁぁぁあ!!!!!」




「あ、こんちゃーす、お届け物でぇす♡」

そう、此奴こそこの”ハイパーデンジャラス厄介な家”の(あるじ)こと、坂田銀時である。

「お届け物でぇす♡、じゃねえよ!てめ、何回も留守だっつってんだろうが!」

「留守ぅ?おるやないですかい坂田さ〜ん」

お天道さんが俺達を見下ろすような時間だったが、目の前の彼は今起きましたと言わんばかりのうっすい(まなこ)を気だるげに俺に向けた


「テメーがしつこいからだろっ!こっちは仕方なく出てきてやったんだよ!」

「そうかい。なんでもなぁ?どこかの優しい誰かさんが、配達先で買うてきてくれた甘味らしいんやけど、そんなに言うんやったら俺がもろうておk」

「すんませんっしたぁ!いやマジで、すんませんっしたぁぁ!」

いやぁ〜、俺ぁこんな優しい友達持って嬉しいなー!本当愛してるよー!なんてーあはははは

なんて単純なやつだ…なんて思いつつ、俺は目の前の家「万事屋」の扉を潜った。

腹が減っては戦ができぬ→



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作者名:狛石蜻牡 | 作成日時:2022年11月27日 22時

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