6 ページ44
(Jaehyun side)
正面に回り込んで覗いた顔は、今の今まで泣いてましたと書いてあるみたいで。見つめている間にまた溢れそうな涙を服の袖でゴシゴシと拭こうとするから、ダメだよ、と制する。
「なんで泣いてるの？」
「みんなに、迷惑かけてて、ちゃんと踊れなくて、悔しくて…」
ちゃんとできなくてごめんなさい、そう言いながら泣きじゃくってしまったAを落ち着かせようと、体をさする。
ちゃんと踊れないことが悔しくて泣いてるのか。あんな靴ですぐに踊れるようになるなんて難しいに決まってるのに。俺はてっきり足が痛くて泣いてるのかと………って、まじか。
視界に入ってきたAの足は、白い靴下がまだらに赤く染まっていた。思わずぎょっとしてしまって、Aが泣いているのも構わず片手でその靴下を脱がす。
「A、これ、いつから？」
「………………」
「いつから」
「ヒールもらった初日です」
「はぁ…まじで…」
靴擦れで皮がむけて血が出ていたり、マメができてたり、水ぶくれになっているところもあって。あまりにも痛々しかった。
「ちょっとごめん、捲る」
「え、ヒョン、待って、」
練習着のズボンを引っ張り上げて膝上あたりまで捲ると、足も青あざがあちこちにあって。シャツの袖も捲り上げてみたら、腕にも青あざが無数に白い肌の中で存在を主張していた。
想像以上に傷んでいたAの体に、言葉がすぐに出てこない。
「痛いな、これ」
「…………」
「ごめんな」
「どうしてジェヒョニヒョンが謝るんですか」
「Aが痛い思いをしてるから」
あれだけころんでいたら。あんな靴で毎日踊っていたら。
靴擦れができてしまうことも、あざができてしまうことも、少し考えたら分かったことなのに。予測できたことを自分たちがちゃんとケアしてあげられてなかったことが悔しかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 922人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ume.(プロフ) - 由緒さん» コメントありがとうございます！テンちゃんとのお話を入れるつもりだったのでこのコメントが来てエスパーかな！？となってしまいました(笑)楽しんでいただけると嬉しいです！ (2020年9月24日 0時) (
レス) id: 54cac73cbf (このIDを非表示/違反報告)
由緒(プロフ) - めっちゃ面白いです！テン君との絡みも書いて欲しいです！ (2020年9月23日 11時) (レス) id: b6e188f4b2 (このIDを非表示/違反報告)
る 〜 な(プロフ) - ジェヒョンとチソンで例の事件も込みで、、笑 (2020年8月29日 1時) (レス) id: d5575971cb (このIDを非表示/違反報告)
なおてぃん(プロフ) - テイルとテヨンがいいです！！ (2020年8月28日 11時) (レス) id: 600e5004d6 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 実際は違ったけどマクドン…がみたいです笑 (2020年8月28日 5時) (レス) id: ebeccfdf46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ume. | 作成日時：2020年7月27日 22時
