【小湊春市】見惚れて、見惚れた ページ3
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貴『ごめんね、春市!
私の責任感の欠けらも無い班員のせいで春市に掃除手伝ってもらう事になって…!!』
状況はただそれだけ。
教室の窓は全開。
2人きりで広い教室を掃除している。
春「大丈夫だよ、Aちゃん。まだ部活まで時間あるし、Aちゃん1人だと大変でしょ?」
貴『神様…?』
春「人間だよ」
そんなこんな、せっせと掃除をしていれば最後のゴミ玉をちりとりにぶち込みゴミ箱へ郵送。
無事、掃除用具たちは寝床へ辿り着いた。
…って事は…
貴『終わったー!!早く終わったね!!』
春「うん、部活にも全然間に合うし手伝って本当良かったよ」
貴『あはは、ありがとう!
あ、窓閉めなきゃ!』
そう言って窓に駆け出す。
窓に手をかけて閉めようとすると、ブワッと強い風が吹いた。
貴『うわあああ、気持ちいいー!!』
暑くもなく、寒くもない。
春の匂い。
春「今日はいい陽気だよね。
あ、栄純くん。もう部室に行くのかな。」
貴『あはは、コケそうになってる。
いいねー、青春って感じ…』
2人で肩を並べて。今にも触れそうなその距離。
しばらく風を堪能してからチラリと春市の方を見た。
貴『…』
風に揺れる髪が、綺麗になびいている。
長い前髪からはぱっちりした強い瞳が覗いていて…
春「…ん?どうしたの?」
貴『…!な、何でもない。』
見惚れてしまった。
火照った頬を冷ますように再びグラウンドへ目を向けると、そっと春市の手がAの耳に触れた。
貴『何!?』
くすぐったくて春市の方にマッハで振り向くと、再び強めの風が吹いた。
髪が顔にかからないように髪を抑えてくれる春市。
Aは「え」と春市を見つめると、顔を赤くしながら春市は言った。
春「な、何か、その…可愛くて。ごめん。」
今日だけは責任感のない班員に感謝しよう。
春「Aちゃん、いつもありがとね。」
貴『…こちらこそ』
春「僕は何もしてないよ」
貴『春市の練習してる姿に元気貰ってるよ。』
春「…あり、がとう」
暖かい風に吹かれながら、しばらく私達は笑いあっていた。
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作者名:天野桃介 | 作成日時:2019年5月21日 21時