上京三年目ボーイ ページ2
人で溢れ返る早朝の駅。もう二年半も利用しているはずなのに全くと言っていいほど慣れない。
それもそのはず、俺は大学入学と同時に静岡の田舎からこんな大都会に上京してきたかなり人見知りのごく普通の成人ホヤホヤの男子大学生だ。
育った環境とのあまりのギャップに最初は人酔いして夜は寝るだけ、みたいな日を送っていた時期もあった。それを考えればかなり成長したのだろうか…
大学に講義を受けに行き、バイトをこなし、レポートを書いたりなんなり、たまに飲みに行ったり部屋に飲みに来られたり、ごく普通の大学生活を過ごしている。
ガチャ
「ただいまぁ…」
ルーティーン化した日常の9割が終わりを告げる。
バイト終わりの誰もいない部屋にそう問いかけることに二年半経っても慣れない俺はまだ子どもなのだろうか?
prrrr… prrrrr…
滅多にならない音が鳴った、唯一高校から同じの高地からだ、あ、そう言えば…と俺は日中の会話を思い出しつつ電話を取る
「もしもし?」
『フフっ、あ、もしもしほくとぉ〜?』
こいつ、完全にできあがってるな…珍しい…
「こーちどうしたの?珍しいね酔っ払うなんて」
『エぇ〜?!酔ってないよォ〜!!でもひっさしぶりにしょーちゅー呑んだからフワフワしてるかもぉ!』
そうだ、酔った高地は酔ってる自覚が無い上に酔ってることを認めないので無理矢理運ばないと自らの意思では絶対帰らない。非常に面倒な状況だと3秒程で察知した。
『ウッヒャッヒャッヒャ〜(笑) ほくとお前バイト終わったら来いって言ったじゃんよォ〜!こねぇの!?』
「こーち、そこに他誰がいるの?明日1限あるんだから帰らないとじゃない?」
『ほくとッ!お前ホンッッットマジメチャンだなぁ〜!明日の1限は樹に出席頼むかなぁ〜!?いつもおれがレポート助けてやってるしぃ!』
[オイ!こーちそれはおかしいだろ!!!それを引き合いに出すのはずりぃって!オレ明日は3限からだから寝坊できると思って今日呑んでるのに!!!]
AHAHAHAッ じゅりドンマ〜い!/
あっ、こーちおまえ枝豆の皮こぼしてるよ!?/
樹にジェシー、慎太郎もいるのか。いつものメンツだけど久しぶりに飲むからかペース早まったのかな?
まぁいい。俺と高地は同じアパートなもんだからとにかく連れて帰らないと。
「樹に代わって。今からそっち向かうわ」
日が変わる30分前にして、普通の日が普通じゃなくなっていく気がした
299人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しば(プロフ) - ぽんさん» 報告ありがとうございます!以後気をつけます!また何かありましたらコメントお願いします^ ^ (2020年9月22日 0時) (レス) id: 4f2125b82d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しば | 作成日時:2020年9月21日 23時