３話 ページ3
「あーらま、怒られちゃって可哀想に」
席に着くと隣にいた赤毛の先輩が私のことを見てニヤニヤと話しかけてきた。
「いえ、遅れた私が悪いですから…」
そう言ってふと話しかけてきた先輩の顔を見ると2人と同じように頬にマークが描かれている。
(あっ、ハートだ…)
「このハート気になる？」
「えっ」
先輩に聞かれた言葉で自分の口から思った事が出ていたことに気がついた。
「いえっ、あの…2人とは違うマークだなって…」
そう言って席に座っている2人をチラリと見る。
「あぁ、なるほどねそういう事か」
先輩は2人を見て呟くと再び私に向き直り問いかける。
「お前って異世界から来たとか言うあのオンボロ寮の監督生でしょ？」
「え、あっはい」
「名前は？」
「えっと、Aです。」
先輩は私の名前を聞くと酷く悲しそうなそれでいて何かを懐かしむようなそんな顔をしていた。
「そっか、いい名前じゃん」
そう言ってふわりと笑う先輩に思わず顔を逸らしてしまう。
そんなふうに自分の名前を褒めてもらった事がなかったので嬉しいような恥ずかしいような感覚に襲われる。
「えっ、あっ、ありがとうございます」
そう言って俯く私を見てハハッと先輩が笑う声が聞こえた、絶対私をからかって楽しんでいるんだ。
「先輩はなんてお名前なんですか？」
「なんだと思う？」
思ってもみなかった回答に「えっ」と短く声が出てしまう。
「わかんない？」
そう言って私を真っ直ぐに見つめてくる先輩にますます混乱する。
もしかしてどこかで会った事があるのだろうか？？
いや、でもそんな記憶は全くない。
「すみませんわからないです…。もしかしてどこかでお会いしましたか…？」
「どこかで、ね…」
先輩は少し目を伏せ悲しそうな顔をする。
何故そんな顔をするのか全くわからない、
本当にどこかで会った事があるのだろうか…。
「エース・トラッポラ」
「は？」
「俺の名前」
エース・トラッポラ、全く聞き覚えのない名前だ、名前を聞けば何かわかるかとも思ったが全くわからない。
「えーと、トラッポラ先輩？」
「なんかその呼び方距離ない？エースでいいよ」
「じゃあ、エース先輩？」
そう問いかけると「いいじゃん」と先輩がニカっと笑う。
これが初めての会話だったように思う、それから私はエース先輩とよく話すようになった。
元から波長が合うのか仲良くなるのにそう時間はかからなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サリー - 読んだ後題名見てそういうことか！！って1人で納得しましたありがとうございます！ (9月3日 13時) (
レス) @page10 id: be7cfea392 (このIDを非表示/違反報告)
ガチンコチン(プロフ) - しゃけさん» いえいえ！特に絶対この解釈！という決まりはないので好きなように解釈していただければと思います！！(^^) (2020年8月10日 20時) (レス) id: efbcb31e1b (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - ガチンコチンさん» んーなるほど！私はゲーム内にたまにいるモブキャラたちもこの小説の世界観にいると解釈していたので、主要キャラのハーツ５人以外はトランプと関係ないのかと思い、勝手にあの先輩方なのかと思ってしまっていました（−＿−；） (2020年8月10日 19時) (レス) id: 9cd1e2c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
ガチンコチン(プロフ) - しゃけさん» 誤解を生んでしまって申し訳ない、作中のダイヤとクローバーはハーツラビュルは基本寮長以外はトランプの名前がついているので他の寮生もそうなのでは？と思いこの名前にしました(笑) (2020年8月10日 15時) (レス) id: efbcb31e1b (このIDを非表示/違反報告)
ガチンコチン(プロフ) - サツキさん» あ〜！！気付いていただき嬉しいです〜(^^) (2020年8月10日 14時) (レス) id: efbcb31e1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トラッポラの女
| 作成日時：2020年8月5日 12時
