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『クソ……無理か……』
宿儺の指の呪力を取り込んだ俺は、案外行けるかも!と京都にある実家まで来たのだが、完全に熱が出てきてしまっている。
特級呪物の呪力を下手に外に出すわけにもいかないためチョーカーも付けられず完全に馴染むのを待っている状態である。
洋服だと若干締め付けられるし緩く着物でも着とくか……
てか、念の為食品類買いためておいてよかった……
壁を伝ってノロノロと動いていると携帯に連絡が入る。どうやら直が玄関先に来ているらしい、タイミングが恐ろしく悪い。
仕方ないのでノソノソと玄関へと向かってやっとの思いで扉を開き、「や、」と直に声を掛けるが俺の姿を見るや否や目を見開き、何も言わずに俺を肩に担いで俺の部屋に連れていかれ、布団の上へドサッとおろされる。
『な、何?』
「何やちゃうやろ、自分熱あるのに何歩いとるんや」
『何?俺そんなに熱ある顔してる???』
「真っ赤っかやわ、こっち来てくれるんは嬉しいけど、こういう事情ならはよ俺に連絡しや」
俺も予想外なんだから仕方ないだろ、別に一人で大丈夫だし、一人でも何とかできるし……すると直は「キッチン借りるで」と言って部屋を出ていった。
寝たままで待っているとお盆に器を乗せた直がかえってきた。
「はァ、俺を女中みたいな扱いできるのはAくらいやで」
『…別に、俺は頼んでないが』
「ほら余計なこと喋らんで食べ、どうせまともに飯食うてないんやろ」
『……ありがと』
お盆を受け取り、お粥を一口一口食べ進めていた。すると改めて俺を見た直が不思議そうな顔をした。
「なんでチョーカー着けてないん?古なった?もうちょいしたら1年経つもんなぁ……」
『体質的な理由で着けてねーだけ、直に貰ったのは全然健在だよ』
「ふぅん?」
すると名前がこっち向いてというもんだからそちらを見るや否や、着物の襟を掴まれ勢いよく左右に開かれてしまう。
『ゥわぁ!?』
「……えらい無理難題叩きつける依頼者が居たもんやなぁ?こないに呪力侵食しとるっちゅう事はそんだけのもん取り込んだっちゅうわけやろ」
『ちょっと呪物の呪力取り込んだだけ』
「何の呪物や」
『言えない依頼者との縛りだ』
いつまでも人の服の襟を掴んでいるもんだからペイと剥がし、襟元を整えた。俺の返答に満足いってないのか直は不満げな表情を浮かべていた。
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雪だるま - 続編おめでとうございます!更新楽しみにしてます! (2021年4月10日 15時) (レス) id: db12e25c78 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 続編おめでとうございます!これからも、更新頑張ってください! (2021年4月6日 11時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杜若 | 作成日時:2021年4月6日 7時