六十話 ページ13
すこし、昔話をしようか。
これは、シュビリア・Aがサジャナーを名乗る前の話。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
某日 ティタン国
今日、1人の子が産まれた。
その子は、Aと名付けられ育てられた。
〜〜〜〜
シュビリア・A 4歳
『イリヤ！こっちこっち！』
｢お嬢様、お待ち下さい〜！｣
メイドを連れ歩く無邪気な子供は、部屋の隅に行き、今から秘密事を話すかのように人差し指を口元に当てた。
『みてて、』
んー、と力を踏ん張ると、その背中には小さな羽が六枚生えていた。目を輝かせたAは褒めて欲しいかのようにメイドを見つめた。
しかし、メイドは酷く焦った表情を浮かべた。
｢お嬢様、このことは他に…？｣
『イリヤにしか話してないよ
だめ…なの？』
｢……お嬢様、この事は決して他の人に話してはなりません
お嬢様の、お父様やお母様、お兄様にもです｣
『わかった、イリヤがそういうなら！』
小さな羽をしまって、ニコリと笑った少女は、部屋の外へと走り出す、勿論メイドもそれに着いて歩く。
『イリヤ、そといこ！』
｢え、ちょっと、お嬢様！｣
『フフ、おいてくよー！！』
｢も〜！お嬢様〜！｣
少女は実母に育てられる事はなく、メイドのイリヤに育てられた。だから、Aもイリヤのことを信頼している。
城から飛び出し、城下町をウロチョロし始めるAに一生懸命追いかけるイリヤ。
Aが裏路地に入った時だった、同じくらいの年齢の少年が居た。
『あ、こんにちは』
｢！こんにちは、君あんまり見ない子だね？名前は？｣
『A！』
｢……Aって、シュビリア・A？｣
『うん！知ってるの？』
目の前の表情は変わり、近くに落ちていた小石をAに向けてなげつけた。その石は、おでこに当たり血がたらりとたれた。
｢あ、お嬢様居た……お嬢様！？｣
『いたた……もう！いきなりそんな事するなんてひどいよ！』
｢お前の家がおれたちの家族をバラバラにしたんだ！｣
｢どうしたのそんなに大騒ぎして……！！
も、申し訳ございません！どうか、息子の命だけは……！命だけは……！！｣
幼いAは理解が出来なかった。
そんなAをメイドのイリヤが抱きしめる。
｢お嬢様は許されるでしょうが、国王様は優しい御方ではありません……｣
｢お許し下さい！お許し下さい！｣
『イリヤ……』
｢もう帰りましょう、お嬢様……｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 329人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杜若(プロフ) - miriaさん» コメントありがとうございます！徐々に多忙になりつつあるので更新頻度落ちますが頑張ります！ (2022年8月18日 0時) (
レス) id: 06c98d5373 (このIDを非表示/違反報告)
miria(プロフ) - つづきすごく気になります！更新頑張ってください！ (2022年8月17日 15時) (レス) @page24 id: 56e40795a8 (このIDを非表示/違反報告)
杜若(プロフ) - へびとかげさん» コメントありがとうございます！コメント頂けるだけでも私はとても嬉しいのでそんなことないですよ！更新頑張ります！ (2022年8月12日 18時) (レス) id: 06c98d5373 (このIDを非表示/違反報告)
へびとかげ(プロフ) - ほんと好きですぅぅぅぅぅぅ😭大事な場面でこんな不躾なコメント申し訳ありませんがめっちゃ面白いってことをホントに伝えたいです！更新ゆっくり頑張ってください！応援してます！ (2022年8月12日 16時) (レス) @page9 id: a209224dbc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杜若 | 作成日時：2022年8月10日 6時
