白い傘、オレンジ色のあめ。 (ページ23)

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帰り道、コンビニで水を買った。アイスも、と子どものようにレジにアイスを置く彼女をかわいいと思った。

いつぶりのAさんの部屋にあがる。

あの日は秋だったけど、気づけばもう真冬。
石油ストーブが部屋に置かれていた。
電気とストーブをつけコートのまま窓を開けるAさん。

「煙草、どうぞ」
促されるまま、お礼を言ってベランダに出て火をつける。
本当によく気がつく人だな。さっきの店は禁煙だったから、おれが吸いたいのに気づいたのか。

煙草をくわえて振り返ると、窓の向こうでコートのまま、まだ暖かくなさそうな石油ストーブの前で震えながらアイスを食べるAさんに笑みがこぼれた。

細やかに気がつく。
相手が誰でも楽しい話ができる。
彼女はそれくらい大人なのに、おれよりずっと大人なのに、2人でいる時はまるで子どもみたいな姿を垣間見せる。
かっこいいけど格好つけていなくて、いつもニュートラルで、おれの前で屈託なく笑う彼女。

「本当、なんなの」

参ってしまう。

こんなにかわいい人、ぼーっとしてたら今日みたいに誰かに言い寄られて、すぐに掻っ攫われてしまうだろう。

目が合ったけど、笑いながら呟いた言葉は夜風に消えて、たぶん彼女の耳には届かなかった。