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外に出て少し歩くと見覚えのある道に出た。

「本当だ、Azとこんなに近い」

つぶやくと「だから言ったでしょ、うちはホテルにちょうどいい」と笑う。

「まあホテルにしては…ベッドは小さくて2人じゃ寝られないのが申し訳ないけど」

「普通そうだよね、普通の家は。おれは割とどこでも寝られるから大丈夫、ありがたかった」

「ならよかった。一種の職業病だねー」

そんなことを話しながら、昔ながらの喫茶店でタマゴサンドを頬張る。
コーヒーが冷えた体にあたたかい。

「朝のコーヒーってなんでこんなに美味しいんだろ。酔いがさめる」

「本当に」

「井口くん好きなコーヒーあるの?」

わたしはねー、なんていつもと変わらない様子でにこにこ話すAさんを前に、いつもこうして誰かを泊めるのかな、とか、もう会ってはもらえないのかな、とか、色々な考えが頭を巡った。

彼女の思っていることが見えなくて。

「ねえ、Aさん。…また会いに来てもいい?」


精一杯の言葉だった。
Aさんは少し目を見開いてから

「Azでいつでも会えるよ」

微笑んで言った。


今のはおれの言葉足らず。

でも、「2人で会いたい」なんて口にするのも違う気がして、よかった、と吐いた言葉はもごもごと口の中に溶けた。

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作者名:あこ | 作成日時:2021年12月14日 15時

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