ミルクティーダーリン (ページ4)

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「予定通りなら今日撮り終わる」

　ミルクティーを呷った井上くんを振り返り「そっか、大変だったね」と言えば「仕事だからね、楽しかったし」と一瞬目が合う。

　変わらない日常の中で一つだけ変わった。

　……仲のいい人が、できた。しかも男の子だし、アイドルだし。

　なんだかおこがましい気がして友達って呼んでいいのかは分からないけど。

　
　業務連絡みたいな会話が終わって話が途切れたのを見て、私が再度口を開く。

　いの……瑞稀くんもアクションは返してくれるから答えてくれて。

　友達って言うにはまだ全然ぎこちないくらいだし、なにより……。

　「…朝倉は？」
　「え？」

　「なんかいつもより疲れた顔してる」とまた目が合って。

　……見透かされてる気分、だけど。

　仲がいいとはいえ、他人に自分の弱みを見せるのはきっと。

　「…さみしいから、かな」
　「あー…」

　ただ甘ったるいだけの液体と化したサイダーを喉の奥へと流し込む。

　2番目にしまってた気持ちを聞いた瑞稀くんは、じっとミルクティーを見つめたままぼそりと呟く。

　「ごめん、なんて…」
　「連絡先」

　「嫌じゃないなら交換する？」

　間抜けな声を上げつつ、脳内で情報処理を繰り返す。

　……友達じゃなくても、仲良いなら。

　でも、もし漏れたら？

　頷けないまま固まった私に「…仕事終わるまで考えてみて」と瑞稀くんがゆっくり立ち上がった。