ミルクティーダーリン (ページ3)

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「お疲れ様」

　疲れた顔を上げると、見覚えのある整った顔と目が合ってお辞儀をする。

　「……お疲れ様です、」
　「あー……ごめん、びっくりさせて」

　自販機の前で微妙な会話を繰り広げると、お互いに気まずくて目を逸らした。

　……話したことがあるとはいえ、ちょっとよく分からない人だな。

　がこん、という音がして彼の方を見れば、その手にはミルクティーが握られていて。

　「休憩、付き合ってください」

　という言葉とともに差し出される。

　迷う私の手にミルクティーを収めた彼は、観葉植物の影に身を隠して蓋を開ける。

　

　"瑞稀くんの友達"期間は、そこから撮影終了までの1ヶ月続いて。

　多忙で色を失っていた顔は、瑞稀くんの「朝倉」ってひと言で吹き飛ぶようになって。

　男友達ってこんな感じなんだ、って思って。

　気付けば私の楽しみになっていた密会も、あと3日になっていた。