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「新だよね？え、物凄い偶然」
綺麗なトーンが掛かった声の持ち主は、私たちに近付いた。それから新の方を見て「ほら小さい時の」と、自身を指さした。
新くんが本を片手に迷うような目をする。
「…
「うんそう、
目の前で繰り広げられる話は、別次元のものに見えてぽかんとする。そもそも顔のいい男女が喋ってるだけで次元が違うって言っても過言じゃないのに。
「あ…ごめん、勝手に盛り上がったよね」
その顔がこちらに向いた瞬間、その美貌に腰を抜かしそうになった。
髪の柔らかさも透明感も、大人っぽさも。私や他の子には及ばないくらいに丁寧に手入れされているのが分かるほど綺麗だった。
「ごめん、この人おれの元幼馴染で丸澤 加琳さん。3つ先輩」
「そのシビアさは変わらないね」
元を付けなきゃなんかロマンチックなのに、と言った丸澤さんが「よろしくね」と微笑む。
…なんか、一気に負けた気がした。好意とか関係なしに、性格も良さそうだし普通に自分が劣ってる気がして。
「……伏舞Aです、えっと、新くんとは委員会が一緒で」
「メッセージで言ってた新が言ってた子か、ふふ」
その言葉でパッと顔を上げる。
悪気も取る気も無さそうな丸澤さんの横で、新くんはじっと彼女を凝視していた。
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作者名：氷 雨 | 作成日時：2021年4月24日 0時
