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混 合 . ページ4

「………ここ、……」
「いつもバス出て始めの方に通り過ぎるじゃん??前からリニューアルしてたっていうの聞いてたから行きたかったんだよね〜♡」



ゲームセンター。


ショッピングセンターの中の小規模な物じゃなくて、大きいセンター。


最後に行った日が思い出せないほど久々だったその場所に、松井くんはキラキラした目を向けている。



「ゲームセンター初めて??」
「あ、いや、行ったことは……ある、けど、……」
「ここ結構デカくて色々あんの、よし行こう!!水澤さん!!」





「知らないわよそんなもの、やりなさいって言ってるのほら!!」






強引に仕事を押し付ける。やってる事はあの人と同じ、なんだけど。




私の許可を取らずにぐいぐい手を引いて進んでいく松井くんに、何故か嫌悪感は抱かなかった。



2人で騒がしい店内に入ると、松井くんが「あっ!!」と大きい声を上げた。

「水澤さん、これ!!これ良くね!?」

松井くんは'着ぐるみあにまる”とそれらしい名前の付いたストラップを指差すと、慣れた手付きで小銭を入れる。



つり目に涙ぼくろと、大人っぽい兎が猫の着ぐるみ。その横に、同じ目と涙ぼくろをあしらった狼が、猫の着ぐるみを着た物が置かれている。



松井くんはそれを横目に捉えて、そして。





少しだけ、悲しい顔をした、気がした。


「、松井くん……?」
「え、あ、やべぼーっとしてた、笑
そうだな………、お!! 」



松井くんがアームを慎重に進めると、集中を削ぐような華やかな音楽が鳴り響く。


「………えい!!!!!」


たんっ、と押されたボタンに従って、アームが下がる。



「「………、!! おおおおお〜っ!!」」



アームの先は、ストラップをふたつ掴んで投入口に向かって開く。

「よっしゃ〜!! あ、はい、 水澤さんに、」

松井くんがにまにましながら突き出した手に、自分の手のひらを広げる。



ころん、と落ちたストラップは2つだった。



「…………松井くん、これ……」
「え?………!?!?」

看板の隅に小さく書かれた、ペアストラップの文字。


私の手に転がったのは、物静かそうで大人なオーラを放つ、猫を被った犬と、それに抱き着く人懐っこそうな犬……が犬被ってた。なんだこれ。



「ごめん水澤さんよく見てなくって、その、そういうつもりじゃなくてさ!!あの!!」



焦ってあたふたとしてる松井くんが面白くて、久しぶりに仕事を忘れてふっと吹き出していた。

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作者名:氷 雨 | 作成日時:2021年2月2日 23時

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