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「ジョングガ、ちょっと」


「どうしたの?」



今日一緒に帰ろうよ。


さっさと帰ろうとした袖を掴まれて

振り向くと、女子クラスでも可愛いと

評判の子が立っていた。


男子しかいないクラスで極めて

目立つ女の子が現れたおかげで、

教室中がなんとなくざわめくのを感じる。


前に一、二回喋った程度だろうか。

いきなり声をかけられたものだから、

返答に困って一瞬目を逸らす。


後ろの方で友達が茶化す声が聞こえて、

なるほど、またこのパターンか、と

どこか遠くで悟った自分がいた。



「あの、……だめかな」



耳まで真っ赤にして泣きそうな様子が

かわいそうで胸が痛む反面、

『そんな風にお願いすれば叶うのだから

君はいいよね』と皮肉りたくなる。



「うん、いいよ」



ぱっと花ひらいた表情からはすでに

先ほどまでのセンチメンタルはない。



「おいおい、放課後デートかあ?」


「…そうだよ。羨ましいでしょ」



教室から玄関まで、

ずっとからかわれる運命なのかなあ。

小突かれた肩にそうふざければ

「モテる男は違うな」と冗談めかした声が

頭にこびりつく。


人の好意には聡いほうだった。

この子も、たぶん、あと一週間くらい

したら告白してくるんだろう。



「ずっとあなたと話してみたかったの」



でも、別に嫌なわけじゃないんだ。

この世の誰もが想いを通わせていたら

辛いラブソングは生まれないだろうから。


自分を好きになってくれるのは

いつも嬉しい。ほんとうに。



「私のクラスの子達、みんな言ってるよ」



だけど、そんな嬉しそうな顔を見ていると

何故だか別のひとを思い浮かべてしまう。



「一番かっこいいって」


「……そう?」



そんなことないよ。

軽く笑って俯いた耳が、徐々に熱くなる。


こんなときばっかり出てこないで。

想像の中で笑うAが

変わらない眼差しで見つめている、

そのくすぐったさに思わず身が震える。


映る先に自分がいてほしいと

感じた瞬間、赤い実が弾けた音がした。
 
 
 

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nb(プロフ) - ぺこさん» ぺこさん初めまして!ご返信遅くなりすみません> < なかなか複雑な展開になりそうですが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。感想もありがとうございます!!嬉しいです (2021年8月31日 21時) (レス) id: da5233e53f (このIDを非表示/違反報告)
ぺこ(プロフ) - はじめまして。私も白髪ホソクさんにやられた1人です笑。ジミンさんがナムさんを押して出て行ったところ、すごく想像できて思わずふふっと声に出してしまいました。これから四角関係?がどのように展開していくのか楽しみにしています。 (2021年7月30日 9時) (レス) id: 8374e9dde6 (このIDを非表示/違反報告)
acaramel2(プロフ) - ぽてとさらださん» ぽてとさらださんはじめまして、うれしいコメントありがとうございます( ´ ▽ ` ) とっても励みになります!不規則更新ですが、お付き合い頂けたら幸せです (2021年6月20日 4時) (レス) id: da5233e53f (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとさらだ(プロフ) - すごくすごくすごく好きです!!! (2021年6月18日 2時) (レス) id: abe3bf047b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:acaramel2 | 作者ホームページ:https://twitter.com/cinderella_812  
作成日時:2021年6月15日 12時

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