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「なあに、あなたお兄さんの彼女?」
突然草陰から現れた私に、相変わらず
酔っ払って呂律の回らないOLが睨んでくる。
不機嫌に釣り上がった目に怯まず、
大きく息を吸った。
「ホソクさんは……
大切な友達です」
「ええ、友達?」
面食らったように仰け反った体。
お姉さんはしばらく納得のいかないように
私たちを交互に見つめていたけれど、
やがて「まあいっかあ」と呟いて
どこかへ行ってしまった。自由な人だ。
気を取り直してベンチに目を向けると、
未だ彼は顔を歪めながら体をさすっている。
急いで自分のリュックからパーカーを
出して羽織らせ、前髪をそっと除ける。
じっとりと汗をかいた額は、
信じられないほど熱かった。
(っどうしよう、どうすれば、)
不規則な呼吸に合わせて伝わってくる
熱が自分にまで移ったようだ。
心臓が縛り付けられたように騒ぐ中、
必死に思考を動かそうと息を吐く。
「__A?」
と、頬をぬくい手のひらがふれた。
目を覚ました彼が必死に手を伸ばして
「心配しないで」と笑っている。
そのままゆっくりと目元を拭われて、
はじめて自分が泣いていることに気づいた。
(ホソクさんのほうがつらいはずなのに)
このひとはどうして、
そこまでひとに優しくできるんだろう。
彼の気丈さにまた涙が溢れそうになるが、
ぐっと堪えて気持ちが落ち着かせる。
「……水、買ってきますね」
ずっと撫でていてくれた手を握ると、
澄んだふたつの湖が揺れた。
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nb(プロフ) - ぺこさん» ぺこさん初めまして!ご返信遅くなりすみません> < なかなか複雑な展開になりそうですが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。感想もありがとうございます!!嬉しいです (2021年8月31日 21時) (レス) id: da5233e53f (このIDを非表示/違反報告)
ぺこ(プロフ) - はじめまして。私も白髪ホソクさんにやられた1人です笑。ジミンさんがナムさんを押して出て行ったところ、すごく想像できて思わずふふっと声に出してしまいました。これから四角関係?がどのように展開していくのか楽しみにしています。 (2021年7月30日 9時) (レス) id: 8374e9dde6 (このIDを非表示/違反報告)
acaramel2(プロフ) - ぽてとさらださん» ぽてとさらださんはじめまして、うれしいコメントありがとうございます( ´ ▽ ` ) とっても励みになります!不規則更新ですが、お付き合い頂けたら幸せです (2021年6月20日 4時) (レス) id: da5233e53f (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとさらだ(プロフ) - すごくすごくすごく好きです!!! (2021年6月18日 2時) (レス) id: abe3bf047b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:acaramel2 | 作者ホームページ:https://twitter.com/cinderella_812
作成日時:2021年6月15日 12時