62 求めたもの ページ23
貴女side
夜、弔さんの言葉を思い出していた。
『抱きしめる事が一体あの時の俺にとって
何になったのか、結局分からずじまいだ
どんな感覚なんだろうな
俺にはきっと、一生分からない』
弔さんの過去の世界には行けないし
彼がどんな風に生きてきたのか
詳しくは分からないけど
彼の母親が抱きしめようとした意味は
今なら分かる。
もし誰かに一度でも抱きしめてもらっていたら
彼の人生は変わっていたかもしれない。
私の人生も、変わっていたかもしれない。
私も弔さんも
本当に欲しかったのは
人の温もりだったんじゃないだろうか。
少なくとも私は
私利私欲の欠片も無い
ただひたすらに愛情が欲しかった。
きっとそれが満たされなかったから
どこにいても、何をしても楽しく無かった。
貴「…啓悟さん」
ホークス「ん？寝れない？」
ソファーで寝てくれている彼に声をかけると
すぐに起き上がってくれる。
貴「………何でもない、お休みなさい」
ホークス「何それ(笑)おやすみ」
いつも男の人と一緒の空間に寝ると
過去を思い出して震えが止まらなかった。
だけど今は心地よい。
私はゆっくり、目を閉じた。
そこから1週間、彼との生活は
本当に穏やかだった。
ヴィランである事を忘れるほどに
ただの『壊離A』として生活していた。
人生でこれだけ笑った時間が長いのも
この1週間が1番かもしれない。
ずっとこの人と一緒にいたい
そんな思いは抑えながら生活していたけど
6日目の夜。
ホークス「俺、明日出かけなきゃいけないんだ
夜には帰るからそれまで絶対家の中にいてね」
不安がよぎった。
帰ってこなかったらどうしよう、と。
貴「絶対帰ってきてくれる？」
ホークス「…うん、約束する」
指切りげんまん、と小指を結んで笑う彼を見て
不安は安心に変わった。
翌朝起きた時には、彼はもう居なかった。
それと同時に、焦るDr.の声が聞こえた。
Dr.『仕事の時間じゃ、ブレーカー！！！
早よ帰って来んかい！！
死柄木もワシもみんなピンチじゃ！！！』
パキンと脳のどこかが鳴った感覚がした。
身体が動く。何故？
私は出たくない
だって家にいるって約束したから。
《嫌だ、出たらダメ！！！》
そんな声も聞こえるのに、
私は気づいた時には勝手に向かっていた。
ここから分かるはずもない、アジトの場所へ。
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日サロ - まだ途中だけど面白くてコメントしちゃいました！💞💞ホンマに好きです！ (11月17日 0時) (
レス) @page8 id: fa8371b6ca (このIDを非表示/違反報告)
レモン - Mona さんの作品は、感動できるもの心に響くものばかりで、大好きです。もう涙が止まりませんでした。これからも、頑張ってください‼ (2021年12月28日 20時) (レス) @page42 id: 660206b2ba (このIDを非表示/違反報告)
みんとぅー - すごいですね、世間でいう正義が全員の正義になるとは限らないっていうことが改めてわかりました。ＳＮＳってすごいですよね、いい方にも悪い方にも利用できる。ＳＮＳを使うときはしっかり考えて使おうと思いました！今回も素晴らしい作品をありがとうございます！ (2021年8月15日 17時) (レス) id: a49b45bae0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてと - 「空を飛びたい」から見させてもらっててどの作品も心に響くものばかりでもうすっかりファンです！笑素晴らしい作品をありがとうございました、そして完結おめでとうございます。 (2020年8月23日 17時) (レス) id: 51a37eb23e (このIDを非表示/違反報告)
らーゆ。 - わぁぁぁあ！！完結おめでとうございます！！いつまでも大好きな作品です！！お疲れ様でした！！ (2020年8月18日 21時) (レス) id: 85f012b98b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mona
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st
作成日時：2020年7月30日 1時
