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夏油が謀反を起こした翌年の1月。
彼女はその前に現れた。
「…良いのかい、本当に。
私の理想の世界が必ず訪れるか分からないのに」
『だから理想なのよ。その方が面白い。
私は夏油と一緒に居た方が自由で居られる。
だから君と生きる未来を選んだ』
夏油は知っていた。
自分の望む世界なんて
そうそう手に入れられるものでは無いと。
分かっていながら、その生き方を選んだのだ。
そしてそれを彼女も理解した上で
自分の前に現れたのは
きっと自分がどこかでこの選択を後悔した時に
生き方を肯定した上で救うつもりだったからだとも
分かっていた。
きっとこの選択を後悔する事なんて無い。
元よりあった本音の通りに動くだけだ。
それでも彼女は信じていた。
夏油がいつか、星に手が届かない事に気づいて
呪術師に戻ってくれる事を。
「…悟は怒ってるんじゃないかな」
『ええ、そうね。
それでも良いと思っているの。
誰にも縛られる事なく、生き方を決めたい。
私は、助ける人も選びたいのよ』
「君らしい、って所かな」
クク、と笑うその顔は
彼女にしか見せない表情だった。
人を助ける。だけどそれは一般人じゃない。
貴方を助けたい。
貴方が優しい人だから。
誰よりも正義感の強い人だから。
未来は分からない。だけど
『…これからどんな時も、私たちは共犯ね』
・
・
・
『…これで、良かったの。
最期まで彼は彼のままだったから』
_____とどめを刺さない五条を前に、もう動かない
夏油の隣で自らの頭を女は撃ち抜いた。
たった1人の親友と、想いを寄せていた女は
その目の前で息を引き取った。
2人とも穏やかな顔をしていて
支え合うように、寄りかかっているようにも見えた。
最後まで分からなかった。
2人が何を思って死んだのか。
結局はこの世界を何も変えていない。
それでも
この2人が在りもしない星に手を伸ばし続けた事を
全て無意味だと言い払うに足りる覚悟や自信は
当時の五条にも、他の誰にも持ち得ないものだった。
Fin
終わり
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はぁぶ。 - たった三話だけでここまで感動させるとか、神ですか？ (2021年1月22日 17時) (
レス) id: f02807bc8d (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - 真希さん» ありがとうございます！短編集も別で出しているのでよろしければご覧ください(^^) (2021年1月12日 4時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - 麗奈さん» ありがとうございます！シリアスにどうしてもなっちゃうんです^^;これからもよろしくお願いします(^^) (2021年1月12日 4時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
真希 - 短いお話なのにすごく感動しました。これからも頑張ってください。 (2021年1月8日 22時) (レス) id: 38e55839e7 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 相変わらず素敵すぎます…。短いのに何でこんなに美しい話が書けるんですか？文才分けてくれませんか？とりあえず大好きです (2021年1月8日 1時) (レス) id: 94e620075a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mona
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st
作成日時：2021年1月8日 1時
