【呪術廻戦】補助監督鍵ちゃん

23. 嘘じゃない。ホラです ページ25

【七海side】




彼女は見かけによらず頭が良い。

現場調査などの偵察となれば伊地知くんよりも
優れているだろう。

予定よりも3時間早く仕事が終了した。


今日は早く眠れそうだ。
最近疲れが溜まっているのか身体が重い。



そんな中、帰りの車は反対方向へ向かった。




「…どこに行くつもりですか？」

『居酒屋。早く終わったしお腹空いたし
たまには一緒に食べよーよ』

「できれば早く帰って休みたいのですが」

『薬とか睡眠よりも居酒屋の空気の方が
疲れが取れるって死んだ婆ちゃんが言ってた』

「よくそんな嘘がスラスラと言えますね」

『確かに婆ちゃんは嘘だけどよく行く店の
アル中常連客が本当にそう言ってたんだって』



車はすでに反対方向に進んでいて
引き返すつもりは最初から無いらしい。


数時間前の『たまには休みな』という言葉は
一体どこへいったのか。



ここまで来ると文句を言っても仕方がない。
何を言われても意見は変えないのだから。



20分ほど車を走らせて着いたのは
かなり賑わっている大衆居酒屋だった。


「随分と混んでいますね」


夕方の5時半。この時間から賑わっているとは
相当人気なのだろう。



『今朝2人分電話入れてるからダイジョーブ
店長のおっちゃんと仲良いんだよね〜』



…仕事が早く終わることを予測していたのか
それともコレの為に張り切ったのか。



店「お！Aちゃんお疲れさん！！
ホレ、席開けてるよ」

『アリガトー！急に電話したのにゴメンね〜』


1人では来ないような店だ。
実際こういった場所に来るのは久々だった。



カウンター席に通されると
手際良く彼女はつまみを注文する。



『一杯目何にする？』

「…生ビールで」

『やっぱりそーだよね〜生２つ！』



そしてすぐに飲み物が前に出された時


『あ"…ダメなんだった……』


みるみるうちに落ち込んでいく彼女。


「何がですか」

『1週間禁酒って脳筋学長に言われてたわ』

「バカなんですか？」


何故居酒屋を予約したのか、と言いたいが

あまりに悲しそうに私の方にジョッキを寄せて
メニューをもう1度眺めてたので



「…黙っててあげますよ、それくらい」

『マジ！？言質取ったからな！？』



これでもかというくらい明るい笑顔で
ジョッキを取り返し口を付けた。



言わなければ良かった。

そう思いつつ、取り上げないのは
彼女が憎めないからだろう。

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