【爆豪勝己】仮面王女の鎖

21. 誓い ページ23

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「貴方は、それで良いの？」

彼女が俺の前から立ち去っても、その言葉が
耳に残る。





______あれから、もう10年も経つのか。




痩せ細った身体に、ボロボロの服を纏って
彼女は初めてこの城に入ってきた。


抵抗もせず、目に光はもちろん無い。

恐らく長い間牢に入れられていたのだろう、
それほどに彼女の体は傷だらけだった。



まるで…昔の俺を見ているようだった。

俺がこの城に来たのも
彼女と同じぐらいの歳だったから。





当時の俺は18歳で、彼女は10歳。



俺は国王に命令された事は何でもやった。

そうでなければ俺が殺されてしまうから。



それが例え、醜く生まれた国王の娘
『ステラ・ベルガート・ミード』を殺せ

という命令でも、俺は厭わず従った。



俺の役目はいつだって
国王の『ナイフ』だった。




それこそがベルモント家の『真実』だった。




そしていつしか、ベルモント家の領主は自分の息子にその使命を背負わせたく無いと思い

自分の息子の代わりに、国王に
差し出すナイフを買おうと考えたのだ。

勿論、レガト人から。



そして選ばれたのが、俺
『ライズ・レガント・ルーザ』だった。



8歳でベルモント家に買われて名前を変えた。
国王はもちろん、誰もその事を知らない。

もし国王が知ってしまえば、この一家は即座に
消滅してしまうだろう。


そんな生い立ちで、ベルモント家を装い
生きる為に国王に身を捧げる俺だったからこそ


このタイミングで連れてこられた
俺が殺した王女と同じくらいの歳の美少女が


一体何のために買われたのかくらいは
容易に理解できた。






数日後、国王は我々に

この少女を『王女ステラ』とすると告げた。




そしてあろう事か

彼女の世話役の責任者に俺が指名された。


それも、万が一の事があれば

『独断で殺してもいい』との条件付きで。






俺の毎日も、そこから変わり始めた。






だけど貴女はきっと気付いていない。


貴女は…知らないうちに俺に『大切な物』を
与えてくれていた。



だからこそ、
俺にはやらなければならない事があるのです。



それは貴女にもいつか分かる日が来ます。



だから…、どうかそれまで辛抱して下さい。


きっと俺が、たとえこの命に変えても
貴女を幸せにしますから____

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