【爆豪勝己】仮面王女の鎖

prologue 『過去の私』 ページ2

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これが夢だということは知っている。


私が確かに生きていた過去だ。




自分でも驚くほど覚えている




かつて『迫害民族・レガト人』だった私を。


対等な人間として扱われなかった日々を。


牢屋の中に手錠をかけて入れられ
『売り物』となったあの日を。




意識が朦朧としていたが牢屋の中から、
大人たちの会話を必死に聞いた


『お前は、ベルガラールの王女になる。

自分の容姿に感謝するんだな』





この決定に拒否権はなかった





それからしばらくして

手錠は外され、牢屋から出された
美味しい食事をとり、暖かいベッドで眠る


生きる世界は180度変わった…はずなのに


私の気持ちは変わらなかった




そう、私は
『ドレイ』として買い直されただけだ。







そんな考えに行き着けば、この夢は覚める




目覚めれば
やっぱり暖かいベッドの中にいた。




少しの間を置いて、ノックされたドアが開く。


『ステラ様、おはようございます

朝食の準備が出来ましたので御支度が済ませ次第ダイニングルームへお越し下さいませ』


一言一句変わらない、聞き慣れた言葉。


「…えぇ、ありがとうございます」





私は…




______ステラ・ベルガート・ミード。





『選ばれた人間』しか住むことを許されない、
このベルガラール王国の王女だ



そこに

A・レガート・テラーは


もう存在しないし、2度と存在してはならない。

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