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玉座と2人の男の話 ページ5






「真依ちゃんに家出るよう言うたらしいやん。
何や、急に兄貴ヅラなんてらしく無い」


『…………』




直哉と真琴は同い年の従兄弟。
同じ環境で育ち、才能にも恵まれた。


だが性格は真反対。仲は良くない。
良いはずがなかった。


2人が話す時は大抵直哉が話しかける。
今だってそうだった。



『……ここよりはマシだ』

「待ちぃや」

直哉は立ち去ろうとする真琴の後ろ襟を掴む。


「呪具、無断で持ち出したの、真琴君やろ。
次期当主やからって勝手しすぎちゃうか」




当主の実の息子である直哉。

才に恵まれたにも関わらず、真琴に劣るが故に
その次期当主の座を奪われつつある。

真琴がいる限り、この家の中でもずっと2番目。
その気持ちはとうに憎しみに変わっている。



真琴は真琴でこの家を嫌っている。

直哉に対しては禪院家の嫌な部分を体現させたような男だと思っている。

女を蔑み続ける様子を見て、この男が当主となった禪院家に妹達を置くのは危険だと判断していた。



『……次期当主はお前だよ、直哉』

「…あ??喧嘩売っとんか?」



襟を掴む手に力が入るのを感じていた。
それでも真琴は本気だった。


『俺にこんな家は必要無い。何の価値も無い』


真琴は目立つような事はしない癖に
勝手に周りから注目されるような男だった。

自分が望むものを真琴は易々と手に入れては
その価値を分からないと言う。

直哉は気に入らない。




「…この場で君が死んでくれたら
俺が正式に継げるんやけどな。

ホンマいつになっても殺したいくらい
腹立つ男やなぁ、真琴君は」

『…俺もこの家自体を殺したいと思ってるよ。
ずっと昔からな』



実際それが実行される事は無かったし
その後すぐに、真琴は行方不明になった。






そして月日は流れ、現当主・直毘人が死亡。


その遺言には



【27代当主を禪院直哉とする。



ただし、五条悟がなんらかの形で意思表示が不可能な状態に至った場合

伏黒恵を禪院家に迎え当主とし、
全財産を譲渡する。


また、五条悟の生死に関わらず
禪院真琴の死亡が確認されていない場合

禪院真琴を27代当主とし、全財産を譲渡する】


「…ホンマ、殺したいくらい憎い男やなぁ」




その名前が家から消える事はない。
自分が塗り替える事も出来ない。

勝ち逃げのように去った男に
ただただ直哉が抱くのは、殺意と憎悪だけだ。

俺を慕ったガキの話→←私の兄さんの話 3



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設定タグ:呪術廻戦 , 短編 , 禪院真依
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ユキ(プロフ) - さ、最高でした………ありがとうございます(*^^*) (2022年9月18日 20時) (レス) @page5 id: 390c1a0e26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mona | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st  
作成日時:2022年9月18日 1時

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