【禪院真依】私の初恋の話 (ページ4)

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私の兄さんの話　3 ページ4

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それから当主の嫌がらせの意味もあって
私は京都の高専に入学した。

だけどそこでの暮らしは
家にいる時よりもずっと楽しかった。

痛いのも怖いのも嫌だ。努力も辛い。
それでも私はずっと、「生きていた」。

兄さんは他の誰よりも私達のことを見ていた。

家を出る時真希には禪院が保有する呪具を、
私には特注の銃を内緒で渡してくれた。

構築術式の事なんて殆ど話した事が無いのに。

『真依…男の3歩後ろなんて考えるな。

1番大事なのはお前自身だ。
自由に生きろ。それが1番の幸せになる。

…じゃあ、元気でな』

その時、兄さんの笑顔を初めて見た。

後日。兄さんは行方不明になった。

手紙を残しており、そこに次期当主の継承権を
放棄すると書かれていたらしい。

もう一度会えたならお礼を言いたい。

そう思うけれど

きっとどこかで生きているのだろうけど

2度と会えない気がするのはどうしてだろうか。

「真依ちゃんボーッとしてる。どうしたの？」

『…何でもないわ、桃。行きましょ』

例えもう2度と会えなくても

兄さんは私に力を与え続けてくれる。

私は『女』じゃない。『禪院真依』だ。