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私の兄さんの話 2 ページ3






「…何でここが」

『昔からよくここに2人で居ただろう』



淡々と答える。

兄さんが笑っている所を見た事はない。


『当主から聞いた。真希が家を出るらしいな』




隣に座る兄さんに
思わず距離を取って床に手をつく。

反射的なものだ。
女の頭が男よりも高いなんて許されない。
女は男の3歩後ろを歩くべきだ。

例えそれが、家族でも。



『…楽にしろ。俺は気にしない』



この家の男は

女を子供を作る道具としか思っていない。
そんな視線を浴び続けてきた。


だけど兄さんは違った。
笑ったりしない。それでも優しい目だった。



「…話って、何ですか」

『…真依。お前も家を出ろ』

「え…?」


勘当と言うにはあまりにも優しすぎる言葉。


『人手は足りる。
この家にお前達の手伝いは必要無い。

そもそも雑用係……どうして女ばかりが
そんな事をしなければならないんだろうな』



こんなに話す人だとは思わなかった。
言葉の一つ一つがどれも今まで貰った事ない物
ばかりで、どう答えれば良いのか分からない。



「…でも……私には才能が無い。

兄さんみたいにもなれない。
真希みたいに…特別な力があるわけでも無い。

適当に雑用こなしてる方が…楽です」



嫌な事は、きっと数え切れないほどある。
それでもこの家に縋り付いた方が1番楽だった。



『…術師じゃなくて良い。


外の世界で仕事をして、大切な人に出会って
自由に暮らす選択も家を出れば出来る。


このままだとお前…
生きている意味がわからなくなるぞ』



その言葉にハッとした。


…楽。楽に決まってる。
私はその生活を愛す事は出来るのだろうか。



…きっと、出来ない。
この時から心の中で、真希が家を出た理由は
理解していたんだと思う。

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ユキ(プロフ) - さ、最高でした………ありがとうございます(*^^*) (2022年9月18日 20時) (レス) @page5 id: 390c1a0e26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mona | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st  
作成日時:2022年9月18日 1時

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