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私の兄さんの話 1 ページ2






私と真希には、歳の離れた兄さんがいる。


兄さんは寡黙な人だった。
一切私達に関わろうとはしなかった。


こんなに広い家の中だとしても
直哉なら嫌でも何度も会ってしまうのに

兄さんとすれ違った記憶は無い。

見かけても横顔だけで
言葉を交わした記憶も無かった。


だから、あの人が兄だと言われていたけれど
今まで特にピンと来なかった。




兄さんが誰かと話しているのは
何度か聞いた事がある。

それでも口数は少なく
私たち双子の凶兆を口にする人に対しても
全く反応は無かった。



普通なら何か陰口を言われても仕方が無いような性格だけど、誰も何も言わないのは


ほぼ確実に、兄さんが次期当主になるから。


今の当主は実の息子よりも兄さんに
当主を継いでもらいたいと思っているらしい。

それほどまでに兄さんには才能があった。
相伝の中でも秀でた術式を継いでいた。


対して、私たちには才能が無かった。
禪院家において求められる完璧なんて程遠く
雑用係としての人生だと思っていた。



15歳の時だった。



「私が禪院家当主になる」



真希はそう宣言し、家を出ることになった。
どうやら東京の高専に行くらしい。


ずっと一緒だと言ってくれた。
ずっと一緒だと思っていた。

私たちは、2人で1つだったから。



「…嘘つき」



才能なんて無いくせに。
呪いも見えない落ちこぼれのくせに。

女である私達は
スタートラインにすら立たせてもらえない。

なのにどうして頑張るの?
どうして一緒に落ちぶれてくれないの?



真希が進み続ける限り
私だって進まなければならない。

諦めてしまえば一瞬で楽になる。
なのにどうして____『真依』


辛い時にはいつもそこに隠れて泣いた。

私と真希だけが知ってる、秘密の場所。



だけど今、私の目の前に立っているのは



『話がある』



兄さんだった。

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設定タグ:呪術廻戦 , 短編 , 禪院真依
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ユキ(プロフ) - さ、最高でした………ありがとうございます(*^^*) (2022年9月18日 20時) (レス) @page5 id: 390c1a0e26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mona | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st  
作成日時:2022年9月18日 1時

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