【五条悟】ブラックスマイル

17. 本当の君は ページ19

【五条side】




彼女が無表情になったのは、それでも一瞬。


家「あんたら何してんの」

『硝子。ごめんね声が大きかったかな』

家「五条の声だけうるさい」

「僕は背も声も器もデカいんだよ」


Aの反対側の隣部屋は硝子だ。
不機嫌そうな顔で部屋から出てくる。


家「どういう状況？」

『五条くんが部屋に帰してくれないの』

「待って誤解が過ぎない？

イヤ誤解じゃないかもだけど」


ドアに足挟んでる時点で
責められるのはまず彼女ではない。


家「あんたも犯罪者入り？」

「なんねーよ」


足を引いた瞬間に


『ありがとう硝子。お休みなさい』


笑顔のまま扉を閉めて鍵をかけられる。



家「ストーカーも良いとこだな。
Aが可哀想になって来る」


「そんだけ好きって分かってんのに
僕に教えてくれなかったの酷くない？」


家「だから教えなかったんだよ馬鹿」


硝子も部屋に戻ってしまった。



部屋に戻ってあの顔を思い出す。
少し目を見開いて口角が真っ直ぐに戻った。



…彼女の両親を殺すように指示した
五条家の人間は既に死んでいた。

彼女が養子に入った所を調べると

義父とされる男は、10年前
他の女性に対する性犯罪で捕まっていた。

他にも薬とか犯罪重ねまくってたみたいで
今も牢屋の中だ。あと5年は出てこない。

義母や義兄弟は行方不明。逃げたんだろう。


彼女は…5歳くらいの時から10年以上
こんなクソみたいな環境で育って来たらしい。


『生まれて来てしまったのがいけなかった』

前に君はそう言った。



「…そんなハズ、無いだろ」



嘘で固めた作り笑いの君を見て好きになった？
それで10年持つわけねーだろ。



知ってんだよ


呪術師なんか興味無いって消えたクセに


当時誰よりも強かったのに
誰よりもめちゃくちゃ鍛錬してた事。



人の生死とかどうでも良いとか言うクセに

1回硝子や歌姫が死にかけるくらいの怪我した時

夜中もずっと寝たきりのやつに付き添ったり、
毎日病院に通ったりしてた事。


それに…マジでたまにだけど

僕や傑、硝子がバカやってる時に
本当に幸せそうな顔で笑ってくれる事。



僕が好きになったのは『その笑顔』だけど
本人は気付いて無いんだろうな。

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