【五条悟】ブラックスマイル

Prologue ページ2

【五条side】




高専の…1年の冬だった。


「A、今日こそ俺とデートしようよ」

『やめとくね』

「じゃあ明日は？」

『やめとくね』

「そっか、じゃあ明後日ね！！」


ずっとそんな風に話しかけてたな。


君はどんな時でも常に笑ってた。
口角が上がったまま、全ッ然変わんないの。

驚いた時に一瞬目を見開くくらいでさ。



そう。



君が誰にも言わずに姿を消した日でさえも。




僕や傑と同じ特級術師である上に
何故か、お互いの呪術が効かない唯一の相手。

五条家にしか伝わらないはずの術式使い。
それも、反転術式を最初から使えてた天才。





なのに消えた。

傑も彼女も高専を去った。


呪詛師となった傑は去年死んだ。
俺が止めを刺した。


だけど彼女…才珠(さいじゅ)Aは


何も名前が上がって来ない。

少なくとも呪詛師になったって情報は無いし
就職したって情報も得られていない。


何処にいるか…全く見当もつかない。


こんな事を君の夢を見るたびに思い出すから
もうウンザリしてきた。今朝も見たんだよ。

だってこの状態がかれこれ12年続いてんだぜ？
正気の沙汰じゃないよねコレ。




虎「せんせー何かボーッとしてね？」

「んー、思い出してたんだよ」

釘「何をよ」

「何をって……




………好きな人の事、とか〜？」


釘「気になる！！どんな人！？」

虎「すっげぇ美人とかだろどーせ」




「うん、すっげぇじゃ言い表せない美人」


一目惚れに近かった。


信じられないくらい脈ナシだったけど

最低限しか話してくんなかったけど

何考えてるかとかまあ分かんなかったけど


それでも好きになっちゃったんだ。


釘「で、その人にフラれたの？」

「何回フラれたか分かんないレベルでは
フラれまくった、なんでだろ」

釘「メンタル強靭すぎるでしょ、流石だわ」



そうかも。
12年たった今でも会いたいって思ってるあたり

拗らせてんなとは自分でも認めちゃうよね。



「僕グッドルッキングガイなハズなん_____」



その教室の扉が開くまで全く何も感じなかった


ずっとそうだった。
彼女の気配や呪力は全く感じ取れない。


『こんにちは』


12年前と同じように
彼女はあの顔で笑って、そこに立っていた。



「……こんな事ある？」

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