【五条悟】ブラックスマイル

28. 脅迫まがい ページ30

【貴女side】





高専の入り口まで帰ってきた時

「おっかえりA〜！
良かったよギリギリまで待っといて！！」



長い腕を大きく振りながら
こちらに歩いてくる五条くん。


横の恵はドン引きしてそうな顔。

私も、いい歳しても変わらない彼は
色んな意味で凄いなとは思う。



五「お土産頂戴♡」


その時、電話が鳴る。


私は高専用、個人用、仕事(ホステス)用と
スマホを使い分けている。

今回鳴ったのは、仕事用。
あの日から電源は切っていたはずだった。


『恵、これ私の代わりに渡しといてくれる？』

「あ、はい」


お土産の紙袋を恵に預け
他の荷物と共に彼らから背を向けて離れる。


画面を確認すると、その番号は
私に結婚しようと言ってくれていた男だった。



『………もしもし』

「何してる。店も辞めたらしいな。

今どこだ？どういうつもりだ？説明しろよ」


威圧的な口調。

彼はよくテレビにも出ている3歳年上の実業家。
多分みんな顔は見た事があると言うだろう。

にこやかで世間の評判はいいけど本当は違う。
感情的になれば直ぐに暴力を振るう。

そしてすぐに優しくなるのだ。典型的なDV男。



『……ごめんなさい』

「謝れなんて言ってない。俺の質問に答えろ
お前は今どこにいるんだ！！」



私の持ち物にGPSを付けていたのは知っていた

だから彼から貰った物は処分したつもりだけど
この携帯の事は忘れていた。

切ってても繋がる理由はコレね。悪趣味。



高専は特別な結界が張られている。
きっと見つからないだろう。


『……教えられません、さよなら』


「おい待____」


スマホを上に放り投げてそのまま粉砕する。


五「派手にやるね〜、どした？」


振り返ると、早速お土産を食べながら
大きめのスーツケースに座ってる五条くん。

いつからいたんだろうか。


『何でここにいるの？』

「お土産のお礼言いたくて、とか？」

『そう。気にしなくていいよ』


いつも通りそうやって適当に笑った時

恵に言った事を思い出した。



お土産も、電話もどうでも良くて

多分この人の事もどうでも良いんだけど
何故か彼には言っておきたいと思った。

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