【五条悟】ブラックスマイル

21. 悠長に ページ23

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式神と才珠さんの感覚を頼りに辿り着いたのは
鬱蒼とした森の中だった。


『死に場所にココを選ぶ人も多いみたいね』


彼女は淡々とそう言いながら進んでいく。


何か…嫌な予感がする。
この呪力、一級じゃない＿＿。


「…思った以上に呪力が強いですね」


『うん、一級以上特級未満が2体くらいかな』



正直この人の強さがどれくらいか
この目で確認した事は無い。


「才珠さんなら楽勝ですか？」


『そういう風に考えた事無かったかも。

勝とうと思った事は1度も無い』



その言葉に目が点になる。

この人は掴みどころが無さすぎる。


「…どういう事ですか？」


『私、本当にどうでも良いの

呪いに塗れた世界になっても。
呪いが消えた世界になっても。

それでも今こうやってお仕事をしてるのは
学長のお願いだからだよ』


「…誰か守りたい人とか、いないんですか？」



誰でも守れるくらいの力を持ってんのに。


少し考えた後、彼女は俺の方を見て言った。


『…恵かな、今は』

「は？」

『私は…死に方を選びたい欲はあっても
結局自他の生死とかどうでも良い。

だから、いつも相手に委ねてる。


私は学長や五条くんの頼みを受けて、今は
仮にも恵たちの「先生」になった。

それは生徒を守る義務が発生してるという事。

別に私はそれに抗うつもりは全く無い
だから…命に変えてもあなたを守るよ、恵』




こんなにも心強く、そして虚しい返事を
俺は初めて聞いた。



その時


上から何かが落ちてくる。

とっさに避けると、そこには呪い。


「呪力…無いオンナ……と…ガキ…

まずはガキ…
そしてオンナ…食ウ…！！」



喋る_____。

強さを図るが、本物だ。
玉犬が壊されそうだったので解除する。



『恵、領域展開って知ってる？』

「知ってますけど…今聞きます！？」

『直接見た事は？』

「ッ！無い…です！」



こっちは呪霊に追い込まれてるってのに
その近くで悠長に話す才珠さん。

そうか、呪力が見えないから
呪いも警戒しないのか。


『じゃあ見せるね。私の手、離さないで』




いつの間にかすぐ隣に移動してきた彼女は
俺の手を握り、もう片方の手を自らにかざす。



そして小さく、呟いた。




『＿＿領域…展開』

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