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『七海さん、私の名前は知ってます?』

「今更何を言ってるんですか」

『だっていつも『君』じゃないですか?』

「それを言うなら君も名字で呼ぶでしょう」

『七海さんは七海さんですから』











懐かしい。


出会ってから1度も

私は名前で呼ばれた事はない。





『君』か『三山さん』だ。そして基本敬語。


それも七海さんらしくて別に良かった。
別れた後も呼び方に違和感なくお話できたし。






だけど今は…

一度でいいから名前で呼んで欲しかった。



そう思いながら、手紙を開く。





___これを手に取っている頃には

きっと私は死んでいるでしょう。
五条さんにお礼を伝えておいて下さい。






私が呪術師を再び目指したのは

やりがいを感じたかったからです。



ロクな死に方はしないと思いますが、せめて
悔いが残らない人生にしようとした結果です。



ですがきっと、この道を選んだ時点で

悔いがゼロになる事などはあり得ません。



なぜなら君を置いてきてしまったからです。

君と家庭を築いて、静かに本を読みながら
綺麗な海辺を眺めたり

一緒に美味しいものを食べて、楽しい時間を
過ごす未来を私は選ばなかった。


初めて君の涙を見た瞬間に決断の重み、
そして後悔がのしかかりました。


だからこそ、呪術師として持てる全てを使って
呪霊を祓おうと思いました。


君には辛い思いをさせてしまいました。
本当に申し訳ない。



ところで、昔

私が君を名前で呼ばない事を指摘されたのですが覚えていますか?


あの時ははぐらかしましたが


本当は他の方に君の他愛もない話をする時は
君の名前を使って呼んでいました。


本人を目の前にしてしまうと
どうしても躊躇してしまうのです。


君は私を七海さんと呼んでいましたが
もし結婚すればどうするつもりだったのかは
気になるところではあります。




その答えを知りたかった。

どれだけ私が呪術師として意義のある死を
迎えたとしても

それだけは悔いとして残ると思います。



君は君の道を進んで下さい。


これは先に死にゆく人間の特権です。
私は善人ではない。だから呪いを吐きます。

見たくなければもう手紙はしまって下さい__








裏側に、その言葉は書き残されていた。
迷いなど、1つもなかった。






___私は



A、君を愛している___






それは



1番私が欲しい、最大の呪いの言葉だった。

epilogue→←9



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設定タグ:呪術廻戦 , 七海建人 , 短編
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- ナナミンーーーー❗うわぁぁぁぁ‼ (2022年2月21日 21時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ぅぅぅっグスッ感動した。涙か止まらない。 (2021年6月13日 18時) (レス) id: 4534ab9975 (このIDを非表示/違反報告)
ふぅ(プロフ) - 号泣しています…。 (2021年4月19日 11時) (レス) id: 56676c275e (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - 涙腺崩壊 (2021年2月26日 23時) (レス) id: f7611d8971 (このIDを非表示/違反報告)
なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - 号泣涙止まらん (2021年1月27日 2時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mona | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st  
作成日時:2020年9月9日 17時

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