寮長ってなに ページ10
「あっ起きたんだゾ！」
「A！」
「だ、大丈夫か？」
『んェ…どこだ、ここ』
「保健室だよ。お前あの後気失ったからさ」
言われて見れば、頭やら腕やらにグルグルと包帯が巻かれている。
何か新鮮だな、怪我の手当なんて最後にやったの何時だ？
心配げな視線に「全然へーき」と応えるとようやく安堵の色を浮かべた。
すると、コツコツと品のいい音が近付いてきた。
「まったく、平気じゃないですよ！いきなりボロボロの君が運ばれてきた私の気持ち！あぁ、本当に肝が冷えましたよ…」
『ひゃは…すいませェん』
「言っとくけど、アンタに"言われた通り"行ってきただけだからな？」
「うぐ……そ、それより！先程みなさんにも伝えましたが、約束は守ります。退学は免除しますよ。」
『だろうねェ、これで退学だったら僕本当に死んじゃう』
学園長の生態は謎だが、自分にも非があることは認めているようだ。よし許す。
「ていうかA！魔法使えてたじゃん！」
『嘘だァ、いつ使ったよ？』
「バケモノに吹っ飛ばされた後！」
「いきなりすごい攻撃を放って、バケモノも一瞬で吹き飛んだんだよ」
『うーん…確かにブチ切れたけど、何も覚えてないなァ』
まァいいさ、帰ろう、と立ち上がろうとすると
「いやいやいや待てよ！やめとけって！」
『すごい必死だねェ、何か都合悪い？』
訝しげにデュースが答える。
「足の骨は折れてるし他からもかなり出血した。痛くないのか？」
『あァ』
「な…なんか本当に大丈夫そうな顔してんだゾ…」
「そんなはずがないでしょう！診断が間違ってるとでも？」
そんなわちゃわちゃを後目に立ち上がろうとすると、ガクッと力が抜けて
「やめとけって言ってるだろ！」
『す、すまんデュース…』
咄嗟にデュースが支えてくれたから良かったものの、危うく床と熱烈なキスを交わすところだった。危な。
「まったく…健康管理は立派な魔法士への第1歩です。しっかりと休みなさい」
「じゃあコイツは俺らが送りますよ」
「おぉ…寮すら越えた友情…！私ちょっと泣きそうです……ンン、大丈夫ですよトラッポラ君。寮長を呼んでるので」
エッ、それってむしろマズくない？
寮長って3年だし、てか喋ったことないし、気難しそうだしィ…
コンコンコン、
·
「テメェか？入学早々俺の手を煩わせる草食動物ってのは」
『ﾋｪ』
☆寮長降臨_____！
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作者名：くろかは | 作成日時：2020年3月24日 15時
