サーカス団員は隙だらけ (ページ32)

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穏便ってなにページ32

「ああっ、オマエ！デラックスメンチカツサンド！」

『センパイそんな数量限定っぽい名前でしたっけェ？』

ハイエナのラギーセンパイは育った環境が似てるからか話が合うし、よく可愛がってもらってる。

その横の寮長は軽く鼻で笑ったものの、すぐに眉間にしわを寄せた。

「あァ、よく見ればお前、植物園でこの俺の尻尾を踏んづけた草食動物じゃねぇか」

「なぁにぃ～！？レオナ寮長の尻尾を！？」

「許せねぇ！！」

『嘘だろユウ！！よく生きてたなァ！！』

「なんでAちゃんもそっち側っぽくなってんのさ」

植物園か、そういや前に寮長そこで昼寝してたな。きっと気付かずに通りがかってしまったんだろう。

寮生は寮長の舎弟みたいなとこがあるのでさらにヒートアップ。ただし我らが寮長は冷静で、暴力沙汰は大会にも響くと止めさせた。流石__

「ここは"穏便に"、マジカルシフトで可愛がってやろうぜ」

…おっふ

好戦的な性格なのは寮長だって例外じゃない。現にめちゃくちゃいい笑顔だ。真っ黒な方の。

そんな中寮長は僕に横で見てるよう命令した。僕が中立のような立場なのと、一応学園長に言われたことを考慮してくれたようだった。

でもマジフト対決は決定事項のようで、というかエーデュースコンビがめっちゃノリノリで、階段を上った先のマジフト場で両者向かい合った。

ユウは1番後ろから指示出しを、僕はコート外で得点係を。

こう言っちゃ申し訳ないが、センパイ方はともかく寮長がいる時点で負け確だと思う。

確かにケイトセンパイも切れ者だけど、寮長はそれに加えて体格も魔法も一流だし、マジフト界隈では天才司令塔として有名らしい。部活もたまにサボってるらしいけど。

試合が始まった。ハンデとしてエースたちがディスクを持ったところからスタート。

エーデュースコンビは全然怯むことなく、デュースに関しては完全に顔がヤカラだった。それに乾燥したここではグリムの炎も調子がいい。ケイトセンパイも防御魔法でのサポートがうまい。

対してサバナクローは。ラギーセンパイは比較的小柄なぶん箒も小回りが利くし、メンバーとのコンビネーションもあってトリッキーな攻撃でエースたちを妨害している。

それにこの妨害の仕方…誘導してる。

ゴール目前という位置に寮長が悠然と立っていて、マジカルペンをくるくると弄んでいる。

「いけ！」

ユウが叫んだとき、

寮長が放った大きな衝撃波が彼らを吹き飛ばした。