サーカス団員は隙だらけ (ページ28)

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事故ってなにページ28

少し肌寒くなってきた頃、校内でちょっとした事故が多発していた。

階段から落ちたり、調剤中に火傷したり、箒から落ちたり…とにかくそんな些細なこと。

「でもさ、あんまりたくさん起こると怪しくない？」

チキンサラダを食べながらエペルはそう零した。

本当はガッツリ肉を食いたかったらしいが、お察しの通りセンパイたちの目がギラギラ光ってるため妥協したらしい。

『確かに変だけど。今度あるマジフト大会で浮かれてンじゃないのォ？』

「うーん…考えすぎなのかな」

『意図的に起こされた事故だって…事故じゃなくて事件だってなったら、それって誰か首謀者がいるってことでしょォ？』

真偽はともかく、もし友達とも疑心暗鬼になってしまったら何だか悲しい。

それに、自分の愉悦ためだけに誰かを駒にするヤツは大嫌いだから。

『怪我でマジフト大会出れなくなった人も多いんだっさ。エペルも気を付けなきゃねェ』

「ぼ、僕じゃ代表には選ばれないよ」

『さァ？浮かれて怪我したセンパイの代わり～なんてあるかもしれないし？』

有力候補たちが事故に遭ってる…というか、ある人数を越えてから怪我人の話が必ず選抜どうこうを伴って舞い込むようになった、という感じ。

僕が持つ情報量じゃ「有力候補者たちが狙われてる」とは言えないけど、もしそうならサバナクロー寮生なんて格好の標的だろう。

…いや、あんな体格いい人に喧嘩売る度胸がなければ無理だろう。僕ならそんな危険なことしない。

「それならAクンも気を付けなよ？変なところ抜けてるし」

『あれ、さらっと貶されたァ？』

「気のせいじゃない？」

『…そっすかァ』

打ち解ければエペルも年相応の男の子って感じの喋り方だ。軽口叩かれてもその笑顔かわいいから許す。元々そういうノリ大好きだし。

エペルが昼メシを食い終わったころ、また一人怪我人が出たと耳に入った。

どうやら3年らしい。となると結構主戦力の可能性あるよね、大丈夫？どこの寮？

こんなこと言いつつ正直他人の事情はどうでもいいので、テーブルの脇に置いておいた勉強道具を持って魔法薬学室に向かった。

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トレイセンパイが階段から落ちたと知ったのは、この日学校から帰る途中だった。