休息ってなに ページ45
暇 す ぎ る 。
一日中休みというのも考えものだ。ショートスリーパーの僕には寝るという選択肢はないに等しいし、ゲームの類は持ってないし、図書室の本は内容が難しくてまだ読むのに苦労するし、勉強は今日やる気分じゃない。
喋ろうにも同室のセンパイは友達と出かけちゃったし…
『そうだ、オンボロ寮に行こう』
最近あんまり行けてないから丁度いい。寝巻きから寮服に着替え、慣れない書き置きを残して寮を後にした。
＊＊＊
「はーい…あれ、A」
『やほォ』
「丁度よかった、今から呼びに行こうとしてたんだよ」
オンボロ寮は相変わらずオンボロだが、頑張って掃除してるのか玄関先にホコリは見当たらない。
ユウも何か用があったのかな、と思いながら談話室に行くと、見慣れた面々が揃っていた。
「A！随分早かったな！お前これな」
『えッなにいきなり』
「エースとデュースがゲームしよって押しかけてきてさ。それであと一人Aを呼ぼうとしてたんだ」
「4人制なのに同室のヤツらが出かけちまったんだよ。グリムはコントローラー握れねぇし」
『おォ…』
テレビはユウが直したのだろうか。いや、かなりひどい壊れ方だったから新しく買ったか貰ったのだろう。
『ていうか僕こういうゲームやるの初めて』
「マジで！？今までどうやって暇つぶしてたんだよ？」
『……何してたっけ』
「ハァ…。A、このボタンで移動、このボタンでジャンプ、このボタンで攻撃だ。それでこのボタンが_」
「初心者ならとりあえずその3つがわかればいいっしょ」
『わかったァ』
テーブルに並んだクッキーをつまんでテレビ画面に向き直った。
これはいわゆる格闘ゲームのようで、適当にキャラクターを選んだらエースがステージを選び、バトルが開始した。
「っしゃオラァ！！」
「ゲームでもそのキャラなんだ！？」
「ハッ、防御が甘ぇよ！」
『うわすごォ__あ、しんだ』
「Aのヤツ、自分から場外行ったんだゾ」
『この子反抗期ィ？』
「Aが下手くそなんだよ」
察してはいたが、コイツら初心者に容赦ねぇ。
エースは綺麗に避けるし、デュースはガンガン攻撃してくるし、ユウは遠距離射撃でジワジワ狙ってくる。
終いには何でかわからないけど自ら場外で死ぬのだ。
「初心者以前の問題だよ、Aがゲーム下手くそなんだよ」
『ユウって優しそうに見えて容赦ないよねェ』
「言えてる」
「ちょ」
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作者名：くろかは | 作成日時：2020年3月24日 15時
