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合奏が終わって、
帰りのミーティングも終わって帰宅。
唯一方向が一緒の佐野先輩と、2人で帰る。
いつも、佐野先輩が生徒会の仕事に行ってしまって、1人で帰ることの方が多いから
合奏の日だけ帰れるのが、楽しみ。
「Aちゃんさ、なんであの時不思議に思わなかったん?」
「へ、?あの時、ってどの時ですか?」
「…ほら」
そう言ってスマホを向けられると、音が鳴っていた。
「今日の、、合奏?ですか?」
「今日、俺と橋本先輩とAちゃんの部分のとこで、Aちゃん外されそうになったでしょ?でも、どう聞いても、アルトの音消えてないんだよ」
「え?、、確かに」
佐野先輩が録音をしていることは前から知っていた。
でもそれをちゃんと聞いて、分析しているところを見るのは初めてだった。
その音は、確かにアルトの音は消えてなくて、
逆に、ホルンの音が小さいくらいだった。
「嘘つかれてた、ってことですか?」
「、、いや、うん。、、、多分ね」
「ん〜、、、でも、その時私力入りすぎてベルアップ少ししてたかもです!」
「、、、」
スマホをしまった佐野先輩は、小さくため息をついた。
「さのせんぱい?」
不思議に思って、ゆっくり喋ると
ポンポンと頭を撫でられた。
「ど、うしたんですか、?…せんぱい、?」
「変わらず優しいなって」
「それだけ」
触れられた部分がまだ熱くて。
ふわっと笑ったその笑顔が優しすぎて
「先輩の方が、やさしい、です」
なんだか、むねがくるしくなった。
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作者名:氷のホルン | 作成日時:2023年7月11日 10時