EsとF (ページ6)

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先輩と一緒に合奏場所に着く頃には

吹部メンバー全員揃っていて

間に合ってよかったと一安心。

「あ！Aちゃんありがとね！佐野遅いじゃん」

「あー…まあ」

「先輩？どうかしました？」

「ううん。なんでもないで」

先輩はクールで、部活にいる時はあんまり話さない。

それが少し、怖いときもあるって他の部員が言ってた。

私もたまに、怖い時がある。

何を考えてるのか全く掴めなくて

でも、すぐに笑顔を見せてくれるから、大丈夫な気もしてしまう。

「前回の続きのDからやります。全体で一度合わせます」

合奏が始まった。

今、コンクール曲の練習をしている真っ最中。

そして、その曲にはホルンとアルトサックスのユニゾンがあって、

その部分がめちゃめちゃメインだったりする。

今から合奏するDが、そのユニゾン。

「ホルンって2ndもそこやってる？」

「あ、はい」

「そっか…今ね？アルトの音が消えちゃってるから1stだけにしよっかなって思ったんだけど、どう？」

私は一年だから、2nd

3年の先輩と2人だけでホルンをやっている。

だから、この部分から下ろされるのは、決まって私。

仕方ない。

「わか､､」

「俺、いらないって言ってないですけど」

斜め前に座る佐野先輩が声を上げた。

「音量が足りないから、人数は増やすべきだと思います。それに、音が消えちゃってるのは、俺の問題なんで」

「そ、っか。そうね。佐野くんの言う通りだわ。今のなしで」

結局、今の話はなしになった。

まあ確かに、楽譜には1stのみって書かれてないし

楽譜通りになっただけだから、なんの問題もないのだろうけど。

合奏中に佐野先輩が声を上げことは珍しくて、中学生の時も意見とか、言わなかったから

正直、驚いた。