なんだお前ら夫婦か【孤爪研磨】

三十三話 ページ42

夏の合宿が終わり、ようやく夏休みらしい休みが始まった。

部活がない昼、研磨とAと黒尾は研磨の家で夏休みの宿題をしていた。

研磨は宿題を夏休みの初日からほとんど終わらせていたため、黒尾とAが唸りながら宿題をしていた。

「だああ…わかんない、研磨カンニングさせて」
「ダメ。ていうか、Aの方が頭いいでしょ」
「え？そうなの？」
「クロ、何気に失礼」

Aは毎回では無いが学年トップの成績を維持している。苦手な教科の数学を除けば間違いなく毎回学年1位をとれるだろう。

「点Pは動くし兄弟は池の周り走るし意味わかんないでしょ、てか数学って必要？やりたい人がやれば良くない？せいぜいスーパーの割引の値段知りたい時くらいしか計算って普段使わなくない？」
「珍しくキレてんなー」
「Aはよく授業中一人でキレてるよ」
「それ絶対周りに怖がられてるだろ」

Aは疲れて宿題を投げ出し、近くにあったゲーム機を持って研磨のベッドに座る。

「Aさ、男の部屋でその格好は無防備なんじゃないの？」
「男って言っても研磨の部屋でしょ。研磨はそんな変なことするわけないじゃん」

研磨は黙ってゲームをしているが、しっかり話を聞いている。

黒尾はその危機感の無さが危険なんだよなぁ、と心の中で思う。

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