なんだお前ら夫婦か【孤爪研磨】

十七話 ページ24

音駒高校の渡り廊下を歩いていると、他の部活の生徒や補講に来ている生徒に会った。

「あ、Aじゃん、部活？」
「ね、これAに差し入れ」
「部活終わったらカラオケ行こー」
「夏休みの間勉強教えて！」
「悩みがあるんだけど…」

次々に話しかけられるAは一人一人ちゃんと返事をしながら学校案内していた。

「なんて言うか、Aちゃんって人気なのね｣清水がそう言うと、梟谷の白福は「怖そうに見えるのにね〜」と正直に言う。

「Aちゃんって男子と仲良いし、近寄り難そうだけど実際は気が利くいい子なのよ〜」
「えへへ」
「あと、恋する乙女なんだから」
「ちょっ！！」
「ひゅ〜」

Aは森然高校の大滝に肩を組まれてヨシヨシされる。不服そうな顔をしながら頭を撫でられている姿はまるで飼い主に無理やり撫でられている猫のようだ。

「研磨くんとどうなの？」
「昨日もいつも通りゲームして終わり」
「また進展してなーい！前回もそれ聞いたんですけど！」

いつも通り。それがもはや一番いい状態な気もする。

「再来週の1週間合宿でさ、もっと距離縮めてこ！」
「はいはい、もう試合始まるので急ぎますよー」
「はぐらかした」
「はぐらかしたね」

野次が飛んでいるのを無視して体育館に戻る。

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