なんだお前ら夫婦か【孤爪研磨】

一話 ページ3

「みんなおつかれ〜」

音駒高校のたった一人のマネージャー三毛A。明るい笑顔で作ったスポドリを両手にいっぱいもって一人一人に渡していく。

「汗かいたあとのスポドリは美味いぞー」
「サンキューなA」

黒尾はAにお礼を言って受け取ると、他の部員もお礼を言ってく。

研磨はAからスポドリを受け取ると、じっと見つめたままなかなか飲まない。不思議に思った夜久が声をかける。

「毒とか…入ってないよね」
「失礼な！！」
「だって昨日ゲームで毒入りエナドリ飲ませたじゃん！おかげで装備全ロスしたんだからね？！」
「あれは冗談のつもりで入れたのにまさか毒耐性つけてきてないって思わなかったんだよ！！」

二人の内輪ネタについていけないチームメイトを置き去りにして喧嘩を始める。

「君たち昨日も夜通しゲームデートですか？お熱いねぇ｣

ぐぬぬぬと睨み合っている研磨とA。

「お前ら喧嘩やめろって。練習に集中しろ」

夜久にそう言われるとお互いぷいっと目を逸らす。音駒バレー部名物の夫婦喧嘩はまるで猫同士が引っ掻きあってるような激しい言い合いだった。

しかし、放課後になると＿＿＿＿

「今日はどこのダンジョン行く？」
「あー、神秘の森のダンジョンの素材集めたいかも、研磨は？」
「俺もちょうどそれ行きたかった」
「じゃあ決まり。夜9時ね」

Aは学校帰りにクレープを買って食べながら歩き、食べるのに夢中になってるAが危なくないように腕を貸している研磨。

さっきの喧嘩はなんだったのかと思う程仲良さげな二人に黒尾は苦い顔をする。

「なに君たち怖いんですけど」

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