なんだお前ら夫婦か【孤爪研磨】

九話 ページ11

新幹線を降りて、遠征に向かうバスでAは1番後ろの座席を占領して寝ていた。

「おい仮にも3年がいるんだぞ、危ないし、ちゃんと座れよA」
「夜久先輩も後ろ来ます？あー、ちょうど膝枕ほしいなー」
「ダメに決まってんだろ！！」

バスが休憩所に止まってもAは寝ていて、その隙に福永はシートベルトでAを拘束していた。

「シートベッド」
「起きたら怒られそうッスね…」

起きないAに研磨が水と薬を持って来た。

「どうせ車酔いでしょ」
「よくわかったね〜薬持ってきてくれたの、ありがと」

研磨はAの事をよくわかっているからか、車酔いでしんどくて寝ているのに気がついていた。

「なんだ、それなら最初から言えばいいのに」(夜久)
「もし誰か車酔いになったら変わるつもりだったんでしょ。変な気遣いしなくていいのに」

研磨はAのおでこにデコピンをすると「イタッ」とAがおでこを抑える。

昨日あんなに不機嫌だったくせして結局優しくするのずるいよね。

「もうそろそろ降りる準備しとけよー」と直井コーチが言うと、みんな荷物をまとめ始めた。

仙台に帰ってきたのは何年ぶりだろうか。

親戚の集まりがあった3年前が最後だったかな。

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