盗むココロ 赤×橙

招待状 3 ページ3

橙side



あれから数日



別に変わったことなんて何１つない。





橙「あほみたい。
空耳だったのよ。きっと。」





落ち込んでる自分がバカらしくなる。






テレビをつけても、
怪盗Sの話題は消えていた。






橙「何やってんだろ…」





あの時、信用なんてしないはずだった。




でも、もし本当にここから出られるならって。








そんなはずないのに。






「あきちゃん」




橙「あ、あんたこないだの。」






もう驚きはしない。





けど、希望も持たない。





「ほんまに、信用してへんなぁ。」






橙「当たり前やないの。」





ため息すら出るほど
その声の主は





どこか間抜けた声をしていた。






橙「どうせ、助けなんて出せないくせに。」





「結構、クールなんやな。」



特徴のある声に





イライラを募らせる。






橙「ねぇ、本当は
私を連れ出すことなんてできないんでしょ。」





「あきって、冷たいわ。」






橙「ていうか、
なんで呼び捨てにしてんのよ。」




「え、あかんの？」





橙「うそ。
私の名前呼んでくれる人、
他におれへんから。
呼んでくれてもええけど。」





自分で言って恥ずかしくなる。







信用なんてしてるわけじゃない。


それだけは変わらない。

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