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俺の目をまっすぐ見据えながら、“貴方”を強調して問うてくるアスティ。ただならぬ雰囲気に、こちらも真剣になる。
「……いえ、貰い物です」
『…………』
1度目を伏せて考え込んだ彼女。顔を上げて俺のカップを手に取り、口を付け始める。
『飲みましたか?』
「え?」
『貴方はこれを飲みましたか?』
「いえ、まだ一口も飲んでいません」
『…………』
無言のままカップを持って立ち上がり、キッチンに向かうアスティの背を追いかける。シンクの前に立つと、紅茶を流しに捨てた。
「何を!?」
『他には?』
「説明w『バーボン!』!?」
『他は?』
「……こちらです」
残っていた他のティーバッグを彼女に渡す。それを見ている彼女は『今回使ったのが初めてですか?』と質問してきた。なので「開封したのはさっきだ」と答える。
『……そうですか』
ほっと息を吐いた彼女。安堵しているように見える。
「……アスティ、説明をお願いします」
彼女は答えるべきか、数秒考えたようだが口を開いた。
『……先程の紅茶には……毒が入っていました』
「なっ!?」
信じられず、彼女を見やる。最初は俺がアスティに危害を加えようとしたのかと疑っていた。だがそんな素振りはなかったし、俺の方の紅茶にも毒が入っていたと。
「……貴女は大丈夫なんですか?」
困ったように笑う彼女は、答え難そうだったが答えてくれた。
『……少し舌が痺れているくらいです。体に異常はありません。私の体は……あまり毒は効きませんから』
彼女の腕を掴んで「念のために病院に行きましょう」と伝えたが、首を横に振って拒否をしてくる。
『バーボン』
「……はい」
『今言ったことは、他言無用でお願いします』
「…………わかりました」
俺の答えに安心したのか、『ありがとうございます』と笑顔を向けてくる。
そんな彼女に、俺は何も言えなくなった___。
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夜空(プロフ) - いつも楽しみにしてます最近頑張ってください応援しています (2021年5月1日 15時) (レス) id: 15c1247fea (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - ベルモットさん» 作者の描写能力が乏しくて申し訳ありません。組織に加入した理由を簡単に説明しますと、組織を離脱する赤井さんの代わりに明美さんを見守る為です。シェリーのような感じで、夢主が仕事をする場面とはどういう意味でしょうか?理解力がなくて、申し訳ありません。 (2019年6月17日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - あと、夢主人公が何故黒の組織に加入したのかが知りたいです。 (2019年6月17日 22時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 始めは動物系苦手でしたが、ストーリー性が深く吸い込まれる程で楽しくなって来ました。黒の組織絡みが良いですね。夢主人公が組織の仕事をしている場面をもっと見たいです。シェリーの様な感じで。 (2019年6月17日 22時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 彩音さん» コメントありがとうございます。苦手系の話にも関わらず読んで頂き、そして楽しいと言って頂いて作者も嬉しい限りです。応援も有難うございます。ルパン達との絡みは先の展開をお待ちください。今後とも楽しんで頂ける作品になるよう精進いたします。 (2018年7月1日 21時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年6月5日 22時