貴方のために出来ること part.6【名探偵コナン】

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Aside


バーボンが工藤邸を訪れに来た。その姿を廊下の角から気配を消して伺う。優作さんと共にリビングに入っていったのを確認して、扉の横に鎮座する。


扉越しに聞こえてくる二人の声へ耳を澄ませながら、手元にあるタブレットへ視線を向ける。そこには、リビングに設置した監視カメラの映像が映し出されているのだ。


(どんな様子かよく見えるー(ﾆﾏﾆﾏ)


来葉峠の件を、秀一がどう乗り越えたのかは知らない。だから手元の映像を見つつ、中から聞こえるバーボンの推理を聞きながら、以前見た映像を思い出していく。


私がジンに見せてもらった映像は、夜の来葉峠に秀一と、彼を呼び出したキールの二人きり。キールの持った拳銃で肺と脳天を撃たれて秀一は、彼の愛車の中へと倒れ込んだ。そして爆弾を爆発させて車ごと炎上。


それと私が警視庁にハッキングして得た情報からは、車から焼け残った男の右手の指紋が、秀一の物だと確定したと。確か……その指紋が確定した理由は、携帯電話に付着した指紋と一致したから。持ち主は江戸川コナン。その携帯を提出したのはジョディ・スターリングだ。


私の知ってることに、バーボンの推理を付け加えてみる。


探偵君の携帯に違う男の指紋を付着させる。その男は右利きだったから、秀一は左利きにも関わらず、右手で携帯に触れた。


起きるだろう事を見越して、あらかじめ秀一の両手の指先にコーティングをしていた。


キールに来葉峠に呼び出され、撃たれた振りをして、死体と入れ替わった。


(私が前に考えた“秀一とキールが示し合わせたら？”って当たってたんだ)


扉を隔てた向こう側から、優作さんの疑問が飛ぶのが聞こえる。


「なるほど。なかなか興味深いミステリーですが……撃たれた振りをした男は、どうやってその場から立ち去ったんですか？」


バーボンは推理の続きを話し出した。


キールと秀一がグルだっただろうから、彼女の車に乗り込んだ。そしてその様子を監視していたジンとウォッカは、頭から血を噴いて倒れた秀一に騙された。


でも血は血糊で銃も空砲。工藤邸の隣に住んでいる阿笠さんに、空砲と同時に血糊が噴き出す仕掛けのニット帽を作って貰った。


ジンが相手に止めをさすとき、“頭を狙う”だろうことを予想して。


(末恐ろしい子だな。江戸川コナン君……いや工藤新一君、か)


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