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Aside
重苦しい空気が漂う中、改めて紅茶を淹れる。もちろん、毒なしだ。
自分とバーボンの目の前に紅茶を置き、私は口を付ける。でも彼は手を付けずに、紅茶をじっと見つめていたので声を掛けた。
『変なものは入っていませんよ?』
「疑ってる訳ではありません!」
「考えていただけです」と言って、紅茶に口を付ける彼。
『何を考えていたんです?』
「紅茶のことです。あれは──」
さっきも言っていたが、あの毒入り紅茶は元々貰い物。ただバーボンは、貰った相手は信用できる相手だと言った。
公安である彼が“信用できる相手”と言うことは、同業者の可能性が大だ。そんな相手に毒入りの紅茶を貰った。彼の心境は複雑だろう……。眉間に深い皺を作り、顔を下げて考え込んでいる様子のバーボン。
『…………』
立ち上がって彼の横に移動し、頭を撫でる。吃驚したように顔を上げ、此方を凝視する彼の視線は無視。
前から思っていたけど、バーボンの色素の薄い金髪はさらさらだ。まったく引っ掛かることなく、するりと指からすり抜ける。女子顔負けとはこのこと。
『バーボンの髪、さらさらですよね』
「……アスティの髪も、十分さらさらしてると思いますよ?」
『そうですか?』
「ええ。さわり心地良いです」
互いに互いの髪を弄る。家の中だから良いものの、外だったら何やってんだこいつら?状態だ。これは毛繕いだ。私ならまだそれで通……る、か?……人間の姿だから通らないな。
暗い空気を払拭して、のほほんとした空気にしたけど、そろそろ本題に入ることにする。
『調べものなら手伝いますよ?』
「いえ、大丈夫です」
『そうですか?』
「はい」
にこやかな笑みを張り付けて拒否するバーボン。彼からしたら、組織の幹部であるアスティは信用ならないよね。
『なら困った時にでも言って下さい』
「アスt『アスティとしてではなく、Segretoとして協力しますよ』……!ふふ、ではその時はバーボンとしてではなく、安室透としてSegretoへ依頼しますね(ニコ」
『ええ、お待ちしてます(ニコ』
そのままバーボンは「お邪魔しました」と言って、部屋を出ていった。
まあ本人が何も言ってこない限りは放っておこうと思う。
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夜空(プロフ) - いつも楽しみにしてます最近頑張ってください応援しています (2021年5月1日 15時) (レス) id: 15c1247fea (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - ベルモットさん» 作者の描写能力が乏しくて申し訳ありません。組織に加入した理由を簡単に説明しますと、組織を離脱する赤井さんの代わりに明美さんを見守る為です。シェリーのような感じで、夢主が仕事をする場面とはどういう意味でしょうか?理解力がなくて、申し訳ありません。 (2019年6月17日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - あと、夢主人公が何故黒の組織に加入したのかが知りたいです。 (2019年6月17日 22時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 始めは動物系苦手でしたが、ストーリー性が深く吸い込まれる程で楽しくなって来ました。黒の組織絡みが良いですね。夢主人公が組織の仕事をしている場面をもっと見たいです。シェリーの様な感じで。 (2019年6月17日 22時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 彩音さん» コメントありがとうございます。苦手系の話にも関わらず読んで頂き、そして楽しいと言って頂いて作者も嬉しい限りです。応援も有難うございます。ルパン達との絡みは先の展開をお待ちください。今後とも楽しんで頂ける作品になるよう精進いたします。 (2018年7月1日 21時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年6月5日 22時