貴方のために出来ること part.19【名探偵コナン】

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吊り橋の中央付近に車を停めるなんて、日の出前だから出来ることだなー。昼間や夜間だったら交通の邪魔になって、クラクション鳴らされちゃう。もしくは追突されたり？秀一の車に追突するなんて不逞な輩はどんな手を使ってでも賠償金を奪い取ってやる！！


割と自分にとって歓迎出来ないことと、相手にとっては不吉なことを頭に浮かべながら、吊り橋の鉄柱へと近付き手を乗っけた。目の前に遮蔽物がないことから遠い先まで見渡せて──


日の出の時間が近付いて白ずんでいるが雲一つない空。
青と黒のコントラストのような海。
風が吹く度、波をさらって濃い潮の香りが鼻へ着く。
でも都会のように空気は悪くない。自然の香りがいっぱいだ。


ちょっと頬っぺた冷たいけど、あと十分弱でお天道様おはようございまーす！って顔を出すだろう。


今か今かと海を眺めて待っていれば、肩に僅かな重みを感じて顔を向けてみる。羽織られていたのは秀一のジャケットだった。


私がこれを奪っちゃったら秀一が風邪引いちゃうじゃん！って、瞬時に彼へと顔を向けてみたら


(あれ？ちゃんと着てる。ん？どっからこれは現れたんだ？二枚重ねだったのか？)


って混乱。羽織られているジャケットをよく見れば、色形が違うことなんて一目瞭然。なのに考えはアホな方へしか向いておらず


「冷えるだろうと思ってな。予備を持ってきていたんだ」


説明を受けるまで、予備というものが思い至らなかった。


私の思考回路働いてないんだけど。大丈夫かな？って心配になるくらいのダメさだわ。


秀一の優しさに感謝を述べ、ジャケットをお借りしておくことにした。


理由？寒いから、じゃなくて秀一の匂いがするからです！
風よ止まれ！強い潮の臭いで秀一の匂いが消える！止めろっ！私の好きなものを取るなッ！


そんな要望が罷り通る訳もなく、むしろ気に入らなかったようで突風が吹いたわ。髪の毛ごちゃっとされた。酷い仕打ちだ。


手櫛で直して、また突風が吹いてごちゃ混ぜにされて。という風の気まぐれに弄ばれること二回。


三回目が起きる前に纏めてしまえ。


ヘアゴム一本を使ってお団子へと纏め上げ、ボールペン一本(ヘアピンがポーチに入って無かったから代替え)を突き刺し止める。


手を離しても崩れないので上手く纏まっているようだ。


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